いとうまい子、遺伝子の研究者になっていた! 東大に通う日々語るも……「更年期障害」と結びつける「婦人公論」の論法
次に見ていくのは、75歳の加藤タキ&70歳の市毛良枝による対談「『社交ダンス』の魔力で身も心も磨かれて」。2人の共通の趣味である社交ダンスの魅力について語り合っています。
加藤は「体重は10キロ落ち、体脂肪率も10パーセント減りました。体がどんどん絞られてきて、洋服も13号から9号に。下半身は7号ですよ」と報告。「背中の贅肉がなくなって、どこに行ったかというと、バストにきた」とも語っています。市毛は体重に変化はないものの「ウエストが66センチ減」とのこと。ただし市毛いわく「30年くらいやってらっしゃっても、スリムでない方も」いるとのことで、誰しもに減量効果があるわけではないそう。
このダイエット効果自慢には、数号前の「2020年12月22日・1月4日合併号」にあった「ダイエットとやりがい 60歳を過ぎて出合った一石二鳥のお仕事」という記事を思い出しました。3カ月で10キロ落とした住み込みの仲居さんや、働き出して3キロ痩せたマンション管理人さんなどが紹介された、おもしろルポでした。
何を語っても「若返り」か「ダイエット」につながりがちな同誌、大変親近感を覚えます。
やる気をそぐ夫、大集合!
理想だけを並べて終わらないのが「婦人公論」。挑戦をしぶる読者の声を集めたページ「女たちの言い訳 いつだって、やる気はこうして阻まれた」も、大変味わい深いものがありました。
例えば、「犬がいて、旅行に行けない」という回答には、ペットホテルに預けるのは心配なほど、犬が大切な存在なのだろうとちょっと心温まったのですが、やる気をそぐ存在として最も多い回答だった“夫”にまつわるエピソードは、殺伐としています。「『家のことをやれ!』となじった夫」「化粧品代も、美容院代も『もったいない』と夫が言う」「夫を介護しながら、ひとりで生計を立てているので余裕がない」「夫の記憶が徐々に曖昧になっている」など、愛憎のこもった切実な嘆きが並んでいました。
そういえば、芥川賞作家の若竹さんが小説を書き始めたのも、新聞ちぎり絵の木村さんがちぎり絵を始めたのも、共に夫の死がきっかけだったそう。「夫」という存在の重さを感じる今号でした。