息子と会えないのは、魂を引き裂かれたようにつらい――嫌われても調停を続けて、母親の存在を示す
――裁判や調停は、まだ続いているんですか?
訴訟としては最後かもしれませんが、地裁で面会交流妨害についての損害賠償請求訴訟を彼と義父、彼の姉に対して起こしました。月に2回会うと取り決めて、そこから増やしていこうって思ってたんですが、妨害されてしまった。
元夫がカウンセリングを受けること、子どもの情報を私と共有することといった取り決めは、中学校時代こそ死守しました。だけど、離婚が成立した直後の高校2年生の4月以降、まったく会えなくなりました。最高裁まで引き延ばしたんですが。
ちなみに、私に養育費を払わせろという調停を起こし、私に支払えという審判を出してもらったのですが、私からの養育費の受け取りをずっと拒絶されています。息子については「大学に行った」ということしかわからない。元夫は「子どもが言いたがらない」って言っていますね。
――調停や裁判はどのぐらい行ったのですか? その結果、一度でも会うことができたりしたんですか?
会えなくなってから、まず取り決めを守るように裁判所から履行勧告してもらいましたが、だめでした。その後は面会交流調停を2回やって取り下げ、親権者変更も1回やって取り下げました。養育費調停もやった。でも、一度も会うことはできなかった。そうこうしているうちに息子も20歳になってしまいました。
――子どもに会えない親はよく、「子どもが大人になって、自分の意志で会いに来てくれたら……」と、希望を込めて言いますけど、息子さんから会いに来ることはあったりしたんでしょうか?
母親である私に、息子が自分から会いにきたことは今のところ一度もありません。といいますか、彼の両親が強硬なので、彼らが生きている限り絶対会わせようとしない。それに息子から会いに来ることもないでしょう。望みが薄い状態ですが、それでも私はずっと息子に関わっていくつもりです。関わることをやめた途端、「お母さんはお前を見捨てた」って言うに違いないですから。嫌われてもいいので、存在を示し続けます。やめたからといって関係が改善するとは、絶対思えない人たちなので。
――女性って自分のおなかを痛めて産んだという経験があるから、男性よりも自分の子どもへの思い入れが強いと思うんですよ。もしかすると、同じ引き離しでも女性のほうがつらいのでは?
すごくつらいです。魂が引き裂かれたように。ただ、私はとりあえず12歳までは面倒が見られたわけじゃないですか。だから幼い子と引き離された人たちと比べて少しだけましだと思っています。
自分が息子を連れて行けば、こういう目に遭わなかったのかもしれない。だけど、それは息子に対する虐待だと思っていたので、自分からはできなかった。それにもし、私のところに息子がいたとしたら、向こうは息子との縁を本当に切ったと思う。今、息子と会えないのは、つらいし苦しい。本当なら、彼の家の近くに住めば息子に会えるかもしれない。でも、それをやったら精神を病んじゃうと思う(笑)。やれる範囲で、子どもに対してのアクセスは続けていくつもりです。
(西牟田靖)