サイゾーウーマンカルチャーインタビュー結婚したら仕事が減る婚姻届の魔力 カルチャー 『結婚さえできればいいと思っていたけど』著者・水谷さるころさんインタビュー(前編) 結婚さえできればいいと思っていたけど、「入籍したら仕事が減る」!? 婚姻届の魔力 2017/01/05 15:00 結婚離婚インタビュー イラストレーターの水谷さるころさん 女が人生の中で最も自分を見失い、頭がおかしくなる時期。それは20代後半から30代の嫁入り前――かもしれない。どうしても結婚したい、結婚ッ!結婚ッ!と、何者かによって、ひどく重い、妙な呪いをかけられてしまうからである。 『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)の著者で、イラストレーターの水谷さるころさんも、そんな呪いにかかり、「結婚したい」と相手に迫って30歳で結婚。そのままバリバリと仕事を続けるつもりが、周りからは旦那さんに養ってもらうと勘違いされ、これはマズイと、CSのテレビ番組から世界一周の仕事をゲットし、30日間の海外出張へ。帰国後、ある飲み会に出て、仕事の話をすると「俺の妻が1カ月も家を空けるなんて言ったら許さないもんね」「夫さんは偉いよ。妻が働くのは女のワガママでしょ」と嫌みを言われ、あぜん。女の行動は、夫の許可制だったのか!? 結婚生活も、思い描いていたような素敵ライフには程遠く、3年半で離婚。その後、法律婚には懲りて、36歳の時に“事実婚”で再婚し、38歳で出産。現在は2歳の子どもを育てる母でもある。結婚したら、女性には何が待ち受けているのか? さらに、これから増えるかもしれない“事実婚”について、お伺いした。 ■「結婚=男の経済力にぶら下がる」と考える人は少なくない ――なぜ30歳を過ぎると、女子は結婚したくてしょうがなくなるんでしょうね?(笑) 水谷さるころさん(以下、水谷) この時期は、女が一番頭のおかしくなる、魔の時期ですよね(笑)。スピリチュアルが大好きなので、超煮詰まっていた時には、出雲大社によく出かけていました。それで、本当に結婚ができたので、実際「すごいな!」とも思ったんですけれど。 なぜそんなに結婚したかったかを振り返ると、私の場合、20歳からフリーランスで働いていて、生活も仕事もひとりで、毎日会う人が欲しい、家族が欲しい、ということが一番でした。会社や共同事務所とかがあれば、まだ社会が広がっていって、追い詰められる感じでもなかったと思うんですが、事務所を持つと費用がかかるし、そういう機会もなかったんですよね。小さい時は30歳になったら結婚をして、子どももいるものだと思ってたのに、「やばい……こんな生活のまま独身だったら死にそう」と思い、「結婚」が何かを考える前に、「なんとか結婚しなきゃ」と、自分で呪いをかけていたんだと思います。 ――本の中で「結婚したら仕事の依頼が減った」と書かれていて、とても気になりました。 水谷 これは、離婚してから、結婚のせいだとわかったんです。とはいえ結婚しても、ゼロにはなりません。取引先の担当者が既婚女性の場合は、結婚しても当然働くつもりとわかっているので、お仕事をくれます。でも、「結婚してから、なんとなく仕事もらえなくなったけれど、どうしてかな?」というような取引先もあるわけです。自分の実力がないからなのか、旬ではなくなったのか、何か悪いことしてしまったかな……などと考えていたんですが、連絡が来ないからわからない。けれど、みんなに離婚した時に「離婚した」と伝えたら、数人から「飲みに行きましょう」と連絡があり、「すっかり悠々自適な生活をしているんだと思っていましたよ」と言われたんです。本の中では、いろいろとマイルドに描いていますが、「結婚=男の経済力にぶら下がる」と本気で考える人が、少なからずいることに驚きました。 ――それで、バリバリ働くという意思を示すべく、仕事の会合には頻繁に参加して、ブログを積極的に更新していたら、「最近、夜遊びしすぎではありませんか?」と、知らない人から書き込みがあったんですよね。一体何なんですか!? 水谷 本当にあったんですよ。モニターに向かって、思わず「ダレだよ、お前!?」ってツッコミました(笑)。コメントを書いてくれた方は、以前、テレビ番組に出ていた時のファンの方だと思うんですね。 おそらく私のことを番組で知って、ブログを見たら、結婚をしたにもかかわらず、夜に飲み歩いている。それを見て、「あれ? ちょっと違うんじゃないか」と思って、書き込んだと思うんですね。百歩譲って、そう思うところまではオッケーだとしても、実際書き込まれると、「はぁ!?」と思いますよね。こっちにも色々あるんだよ、と。 ――そういう方には、どう対処しているんですか? 水谷 とやかく言われたら、心の中で「うるさいな」と思うようにしています。そうなのかな……?とプレッシャーに流されてしまっても、良いことはひとつもないですし。とやかく言ってくる人は、私の人生をどうにかしてくれるわけもなく、自分がこうしてきたんだから、こうした方がいいと言うだけです。言っている人自身の影に対しての言葉なので、気にしなくていいと思います。 次のページ 婚姻届は、自分たちを救ってくれる魔法ではない 12次のページ Amazon 結婚さえできればいいと思っていたけど (幻冬舎単行本) 関連記事 『逃げるは恥だが役に立つ』の契約結婚は法的に問題ない? 入籍したら契約は無効?「結婚して、家族になっても、やっぱり他人」夫が不倫相手に送った手紙の中身 結婚しないと一人前になれないのか? ソロ男が語る未婚男性への「ソロハラ」と幸せの多様性「年を取って後悔しても遅い」アラサー女性が“とりあえず結婚”を考えてみるべき理由「坊主バー」でのご縁は結ばれるのか? アラサー独身女子が出会いのパーティーに参加してみた