[女性誌速攻レビュー]「ar」12月号

「結局、田中みな実」「指原莉乃の宣伝臭」……「ar」ときめくコスメは、有名美容誌ベスコス企画と何が違う?

2020/12/09 20:30
島本有紀子(ライター)
「ar」2020年12月号(主婦と生活社)

 「ar」(主婦と生活社)12月号が発売になりました。年末とあって特集は「Love Cosmetics 2020 可愛いもの好きに捧げるときめくコスメ大賞」です。ほかの美容雑誌でもベストコスメが発表される季節ですが、一線を画したい様子の「ar」。

 「ザ・ベスコス! ってな感じのランキングは美容誌を参考にしてもらうことにして。アールがお届けしたいのは、可愛いものが大好きな女の子のためだけの、ときめくベストコスメ」と書かれており、ほかの美容誌とは違うんだから! といった自負が感じられます。一体どう違うのか!? さっそく中身を見てきましょう。

<トピックス>
◎I Need 透明感
◎HMがモデル撮影で偏愛しているベスコスランキング…でメイクしてみた(ハート)
◎シオリとサトコのラブ充着回し14days

結局、田中みな実か……

 ベスコス特集冒頭を飾るのは、今年、写真集のヒットなどでブレークした田中みな実です。みな実は、今年の美容界を象徴する存在ということなのかもしれません。

 マフラーのようなものに包まれるみな実、バスタオルに巻かれるみな実、ワンショルトップスで”考える人“ポーズをとるみな実、ゆるい上着が肩からずり落ちちゃっているみな実――といったグラビアに、「み~んなのみな実 身体検査」や「ホントのみな実HAIR」といったインタビューが続きます。


 さすがは“みんなのみな実”、彼女は「MAQUIA」(集英社)「VOCE」(講談社)「美的」(小学館)といった主要美容誌のベスコス特集号全てに登場しています。「ほかの美容誌とは違うんだから!」と主張しているように見える「ar」ですが、結局みな実なのか……という感は拭えません。

 インタビューでは、美肌を追求する理由について「私はメイクさんのキャンバス。いかなる時も、まっさらで美しく、描きやすい状態を維持していたい」と語っている彼女。ほかの発言からも、相手の求めるキャンバスになろうとする“キャンバス体質”が感じられます。

 「強すぎる女は疎まれる」ので「主張をする時は、努めて柔らかに丁寧に」とアドバイスしたり、「『恥ずかしいわね』『常識のない人ね』(と言われる)そんな女にならないため」に「日頃から丁寧な生き方を心がけたい」と話していたりと、常に“誰かが求めるみな実”でありたい様子がうかがえます。「人」という単語を使ってもいいところを、わざわざ「女」と言うのも、こだわりなのでしょうか。

 常に相手のニーズを予測し、女を意識する。疲弊しそうな生き方にも見えますが、これが美容誌にひっぱりダコになる秘訣なのでしょうか。来年もどうか心身ともに健康で、みんなのみな実であり続けてほしいです。

ar(アール) (雑誌お取置き)1年12冊