デヴィ夫人が失言・炎上を繰り返しても消えないワケ――使い続けるテレビ局の“本音”と女性週刊誌のスタンス
下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
元タレントの坂口杏里がSNSで新恋人ができたことを公表、ツーショットまで公開した。すごいイケメンで、「幸せすぎてなんでもいい」と。またしてもトラブルの予感しかしない……。
第530回(11/4〜11/10発売号より)
1位「炎上の裏側 デヴィ夫人『堕胎失言』も歓迎 テレビマンたちの倫理観」(「女性セブン」11月19日)
参照「武田砂鉄のテレビ磁石第103回“華麗なキャリア”は言い訳にならないデヴィ夫人の大暴走」(「女性自身」11月24日号)
参照「宝泉薫の口は“騒動のもと” 第11回 デヴィ夫人」(「週刊女性」11月24日号)
2位「アニメ『鬼滅の刃』主演声優が『天狗になっちゃった』」(「週刊女性」11月24日号)
3位「山口達也『TOKIO封印!』裸一貫の再出発」(「女性自身」11月24日号)
デヴィ夫人のあの発言がいまだに尾を引いている。その発端は10月24日放送の『胸いっぱいサミット!』(関西テレビ)。番組内で不妊治療について話題が及んだ際、デヴィ夫人が「皆さん知らないけれど、不妊になるのは堕胎が原因です」「原因の9割9分は堕胎」「私、絶対正しいです!」などと発言したことだった。これに関し番組内でアナウンサーがお詫びしたが、デヴィ夫人本人は「数字に誤りがあったようなので」などと主張、発言を撤回しなかった。
もちろん即、大炎上。そしてデヴィ夫人がブログでこの発言について謝罪したのは番組放送から4日後のことだ。まさにフェイクであり差別的でもある発言だが、これに関し「女性セブン」がデヴィ夫人の失言(というか確信犯的放言である暴言だと思うが)、そしてその存在について考察している。
記事ではデヴィ夫人のこれまで数々の舌禍事件を紹介した上で、それでもデヴィ夫人を使い続けるテレビ側の“本音”をテレビ局関係者のコメントでこう解説している。
「デヴィ夫人はとにかくテレビ的な人なんです。歯に衣着せぬ発言がウケることもよくわかっている」
「(元大統領夫人という)その肩書が、丁寧な口調と相まって発言に重みを与えているのです」
そして、「トラブルメーカーだとしても、使いやすいからオファーが途切れない」とまとめ、これこそ「テレビマンの倫理観が問われかねない」と嘆くのだ。おっしゃる通り、ごもっともです。しかし、テレビ局の倫理観、デヴィ夫人の発言をさらに追求するのかと思いきや、記事は思わぬ展開を見せる。なんとデヴィ夫人をバラエティに誘った“恩人”として美川憲一が登場、デヴィ夫人を見出してテレビ出演を後押ししたことの自慢話、そしてデヴィ夫人論(というか結局は擁護なのだが)が始まったからだ。そして最後に美川はこう断言している。
「これからも夫人はしぶとく生きるわよー。テレビから消えるなんてないわよ」
最近は、ワイドショーのご意見番としてはご無沙汰な美川。デヴィ夫人の放言、話題性をとっかかりに、メディアに出たかったのか。結局、記事も今回のデヴィ夫人の発言の本質的問題には言及せずじまい。
その代わりと言っては変だが、「女性自身」連載コラム「武田砂鉄のテレビ磁石」で、まっとうなデヴィ夫人考察がされている。ついでに「週刊女性」の連載コラム「宝泉薫の口は“騒動のもと”」でもデヴィ夫人を取り上げている。いかに今回のデヴィ夫人発言が重大でショッキングだったかの証左だが、女性週刊誌3誌に取り上げられた3つの記事を合わせて読むとなかなか興味深い。それぞれのスタンスが明確に!!