仁科友里「女のための有名人深読み週報」

高樹沙耶、大麻ツイート終了宣言の裏に新しいオトコ……“男捨離”を繰り返す彼女に見る、恋愛体質の条件

2020/11/06 12:15
仁科友里(ライター)
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羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の有名人>
「私を誰よりもわかってくれる人」高樹沙耶
(「デイリー新潮」2020年11月3日)

 「恋愛体質」という言葉がある。20年くらい前の女性誌で頻繁に使われていた言葉で、正確に定義されてはいなかったが、「すぐ恋をしてしまう人」のような意味で使われていた。今と違って、「恋をしていないと、干からびる」「クリスマスに恋人がいないのは、寂しい女」と刷り込まれていた時代だったこともあり、女性たちは躍起になって、自分を「恋愛体質」に導こうとしていた。

 具体的な方法としては、「一人でバーに飲みに行くこと」とか「ゆっくり話すこと」などが挙げられていた。確かに一人でいたほうが男性に声をかけられる率は上がるのかもしれないし、自分が優位に立ちたい男性は、ゆっくり話す女性……もっと言うと、積極的に自己主張をしない女性を好むかもしれない。しかし、そういう男性を女性側が好きになるかというと別の問題なので、「恋愛体質」になる方法、もしくは「恋愛体質」の人の条件としては不十分ではないだろうか。

 恋愛体質の人の条件とは、一体どのようなものなのか。そう考えたときに、私の頭に真っ先に浮かぶ芸能人、それが元女優・高樹沙耶である。彼女は常にオトコの存在によって人生の選択を行い、新しいオトコができるたびに、方向転換をしてきた女性のように見え、それこそが恋愛体質の条件を体現していると思う。


 『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)で、彼女の半生がまとめられていたことがある。映画『沙耶のいる透視図』で主演に抜てきされた高樹。フルヌードになることが条件だったが、高樹はためらうことなく、そのチャンスをつかんだ。そこから順調に女優として活躍を続け、人気ドラマに多数出演する。時代はバブル真っ只中、高樹はとてつもないカネを持つバブル紳士と飲み歩き、贅沢な生活を送る。遊んでいるときは楽しかったけれど、家に帰るとさみしかったと話していた。

 女優のイメージが強い高樹だが、実は作詞家として活動していた時期もあったことをご存じだろうか。『はじめてのおつかい』(日本テレビ系)の挿入歌として知られる「しょげないでよBaby」は高樹の作詞で、90年代前半には、ほかの人気アーティストにも作詞提供をしている。彼女は女優だけでなく、作詞家としての才能もあるようだ。

 そんな音楽業界のつながりで知り合ったかどうかは不明だが、高樹は1998年、シンガーソングライターの中西圭三と結婚するも、2000年に離婚。その後、ハワイに渡る。そこで知り合った婚約者である水中カメラマンの手ほどきを受け、フリーダイビングの日本大会で当時の日本新記録を達成、ハワイで行われたフリーダイビング大会では総合2位を記録し、銀メダルを獲得している。当時の高樹に密着した番組を見たことがあるが、フリーダイビングは深い水底に潜るため、呼吸ができなくなる不安と闘わなくてはならない。潜る前の高樹に、男性が「絶対に大丈夫」と暗示をかけるように声をかけていたのが印象的だった。

 結局、この二人は結婚せずに、高樹は日本に戻って、まず千葉県・南房総で自給自足の生活を始める。その後、11年には、沖縄県・石垣に移住していたことが週刊誌に報じられ、16年には医療大麻の合法化を訴えて、「第24回参議院議員選挙」に出馬するも落選した。

 高樹はこの間、「大麻草検証委員会」の幹事を務めていることを明らかにしていた。コンプライアンス遵守の流れが高まるテレビの世界で、現行、法律で禁止されている大麻を推す女優は、危険な存在でしかない。テレビの仕事は減り、12年には事務所との契約も解除となった。16年10月7日放送の『爆報!THEフライデー!』(TBS系)では、高樹は男性4人と共同生活を送りながら、コテージを経営していると話していたが、この男性のうちの一人が「大麻草検証委員会」の代表で、高樹との交際がうわさされていた人物である。そして、テレビ放映から間もない10月25日、高樹は大麻取締法違反の疑いで、現行犯逮捕されてしまう。執行猶予3年の有罪判決を受けたが、その後も大麻の合法化に向けてTwitterを中心に活動していた。


ホーリープラント 聖なる暮らし/益戸育江