“中学受験”に見る親と子の姿

「中学受験をやめる」小6秋の模試で、合格確率が80%超→20%に暴落……“コツコツ型”の娘が白旗をあげた日

2020/09/27 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

中学受験生のほぼ全員がスランプに陥る

 この言葉に勇気をもらい美羽ちゃん含め、そのクラスのS学園志望者は全員、合格を勝ち取ったそうだ。

 多くの受験生が、丸3年という歳月をかけて中学受験に挑むのだが、小学生にとっての3年間はあまりにも長く、その旅路は決して順風満帆とはいかない。

 ほぼ全員、成績が思うように上がらなかったり、塾生活に嫌気が差したり、美羽ちゃんのように「合格の可能性がほとんどない」という事態に追い込まれたりするのである。

 合格するか、しないかは時の運もあるので、致し方ない面もあるが、それでも、人生の中で目標を持ち、それに向かって、仲間たちとも一緒に懸命に頑張ったという経験は得難いものだと思う。

 先日、現在中学2年生になった美羽ちゃんが、友人たちと共に出身塾に遊びに行って、同じようにスランプに悩む子の相談に乗ってあげたそうだ。美羽ちゃんは薫さんに、こう言ったという。


「あの時、やめなくてよかった。人生って多分、無駄なことは何もないんだね」

 薫さんが「これは、私の子育ての中でも、かなりうれしい言葉の一つになりました」と語ってくれたのが、とても印象に残っている。

鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。我が子と二人三脚で中学受験に挑んだ実体験をもとにした『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などで知られ、長年、中学受験の取材し続けている。その他、子育て、夫婦関係、介護など、特に女性を悩ませる問題について執筆活動を展開。

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最終更新:2020/09/27 16:00
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やりきったことに意味があるよね