仁科友里「女のための有名人深読み週報」

藤田ニコルの母、ギャラ交渉でオスカーと対立報道……芸能人生命を脅かす「危険な身内」に思うこと

2020/08/06 21:00
仁科友里(ライター)
売れっ子ギャルタレントの筆頭だけど……

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の有名人>
「ギャラとか契約とかをもっとイイ感じにしていこう、と」藤田ニコル
「週刊新潮」2020年8月13・20日号(新潮社)

 番組名は失念したが、昔、松田聖子など名だたるアイドルを輩出してきた芸能事務所・サンミュージックの創始者、相澤秀禎氏の出ている番組を見たことがある。印象的だったのが、相澤氏が「女性アイドルを一人にしない」と言っていたことだった。アイドルは見た目の華やかさと違ってストレスフルな商売のため、一人にすると精神的に追い込まれてしまうこともある。なので、デビュー直後は社長の家で下宿、「一人暮らしをしたい」とアイドルが言いだしたときは、最初はお母さんやお姉さんなど身内を招いて一緒に暮らしてもらい(その分、広い家が必要だが、その経費は事務所が負担すると言っていた)、一人暮らしはその後というふうに、段階を踏むと話していた。

 女性アイドルのメンタル面に重きを置いているあたりがさすがだが、この考え方には盲点がある。そばに置いて良い影響があるのは、「まともな身内」という条件つきではないだろうか。

 例えば、同事務所には清純派アイドルとして名高い桜田淳子が所属していた。桜田は実姉と暮らしていたが、姉は統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の信者で、影響を受けた桜田も入信し、1992年には同教会の合同結婚式に参加することを発表した。日本国憲法は信教の自由を保障しているので、どんな宗教を信仰しようと自由である。しかし、統一教会の霊感商法(先祖のたたりや因縁を理由に、高額な商品を買わせること)は社会問題化していた。イメージ商売の芸能人が、そんな宗教を信仰し、そこの広告塔を務めることはよろしくないだろう。実際、桜田は信仰を明らかにした後、事実上引退に追い込まれている。


 桜田はアイドルとして一世を風靡したが、喜劇もこなせる女優として評価は高かった。「たられば」を言っても仕方がないものの、芸能活動を続けたいのであれば、お姉さんと住まないほうがよかったのではないか。こう考えると、誰をそばに置くかというのは、芸能人生命にかかわることなのかもしれない。

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