サイゾーウーマンコラム“中学受験”に見る親と子の姿中学受験の神童がつまずくワケ コラム “中学受験”に見る親と子の姿 中学受験塾のトップに君臨……「神童」と呼ばれた息子が、最難関私立でつまずいてしまったワケ 2020/07/12 18:30 鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー) “中学受験”に見る親と子の姿 最難関私立は「本当の天才」がゴロゴロいる環境 なぜ息子は、再び学校へ行けるようになったのか。不思議でたまらなかった美恵子さんは、勇気君に「健の心境の変化を教えて」と尋ねたらしいが、笑顔で「さあね、中2病を抜けたんじゃねえの?」としか答えてくれず。真相は藪の中かぁ……と思っていたという。 それから、5年の年月が流れ、健君は難関私立大学に入学。そんなある日、筆者に「あの時の原因がわかった!」と、美恵子さんからの連絡が入ったのだ。 なんでも、健君から、ポツリとこんな話をされたのだという。 「俺、ずっと井の中の蛙だったんだと思う。子どもの頃、結構ピアノがうまかったじゃん? だから、『合唱祭の伴奏は絶対、俺が選ばれるだろう』と思ってたんだよ。でもうちのクラス、ピアノ弾ける奴なんか山ほどいて、しかも有名コンクールで表彰されてる奴もいてさ。しかもそいつに、勉強でも負けてて、もう何やっても勝てないんだよ。あの頃、上には上がいるってことが、結構ショックだったんだ」 幼稚園から小学校時代、全てにおいて“神童”扱いされてきた健君には、相当なるプライドがあり、そのおかげで、日々努力ができていたそう。しかし、中学校に入ったら、周りは神童だらけ。必死に努力して、その地位をキープしてきた自分とは違い、彼らは本当の天才だといい、しかもそんな同級生がそこらにゴロゴロいる環境に、ドンドンと自分の価値を見失っていく思いだったそうだ。 美恵子さんは健君が自分のことを「井の中の蛙」と表現したことで、全てに合点がいったという。 「健は、あの学校の中で天狗の鼻をへし折られたんです。でも東南アジア旅行で、自分のいる世界は狭すぎるって気付いたみたい。随分と大人になってくれたと思います……」 今、健君は1年間の海外留学に向けて準備中だと聞いている。 前のページ123 鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー) エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。我が子と二人三脚で中学受験に挑んだ実体験をもとにした『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などで知られ、長年、中学受験の取材し続けている。その他、子育て、夫婦関係、介護など、特に女性を悩ませる問題について執筆活動を展開。 記事一覧 湘南オバちゃんクラブ 最終更新:2020/07/12 18:30 楽天 2021年度入試用中学受験案内 東南アジア旅行の感想が神童だわ…… 関連記事 「もう最悪です」中学受験生の母が語るコロナ禍の悲劇……自宅はゲーム天国、悲惨なテスト結果に“虚しさ”も医者になるための中学受験で挫折! 大学受験“全滅”、専門学校へ進んだ「開業医の息子」の反抗公立の高校受験組に負ける! 中学受験突破の息子が「中だるみ」「夜10時まで帰らず」……母の焦り小6で中学受験「撤退」まで視野に……「ご褒美を欲しがる」息子に、母親がブチ切れたワケ中学受験生の母、「下の子を放置してしまう」問題……きょうだい間の「教育費格差」は遺恨となる? 次の記事 メルカリは不良品補償が下りない!? >