コラム
【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

天皇が女官にストーカー行為!? ご執心ぶりに皇后様も“憤怒の形相”【日本のアウト皇室史】

2020/03/14 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

少女時代はアウトドア派で日焼けしていたので、黒姫様などと呼ばれていた貞明皇后(getty Imagesより)

――大正天皇の山川三千子へのご執心はそんなにすごかったんですね。そうなると、大正天皇の皇后である貞明皇后はお気づきになって、ずっと我慢なさってたのではないですか?

堀江 それが、かなりの「バトル」があったようなんですね。大正天皇からのアプローチはとにかくずっと続きました。昭憲皇太后の居室をひっきりなしに訪ねてきて、そのたびに、山川三千子を呼び出し、お話などなさるのです。さらに困ったのが、大正天皇が貞明皇后とご一緒のときですら、山川三千子を呼び出し、親しく接することもあったそうです。

 同僚の女官からも「ちょっと(山川さん)、皇后宮様のおみ顔を御覧なさい(やばいことになっているわよ)」……という指摘が入るほど。皇后陛下のお顔に憤怒の形相が浮かんでいたのですね。

――いくら大正天皇のお気に入りでも、皇后様に嫌われてしまっては、山川三千子も大変ですね。女官として宮中にはいづらいのでは?

堀江 それが、この頃、山川三千子にはすでに心に決めた男性がいたのですね。だからそれで平気なところがあったみたいです。寿退社ならぬ寿退官してやるぞ、的な。

 山川三千子は休日にひとりで出かけた美術館である男性と偶然に出会います。それは、旧・会津藩家老の家柄にあたる山川黙(やまかわしずか)という男性で、彼女はもともと彼の養母とも知り合いだったのです。養母同伴にせよ、デートもしています。それ以後、彼のことが好きでたまらなかったようで、昭憲皇太后が亡くなった大正3年(1914年)に女官生活にピリオドを打った山川三千子は、そのまま黙と結婚したのです。その後の山川三千子については、次回に続きます。

――次回は3月28日(土)更新です!

堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『眠れなくなるほど怖い世界史』(三笠書房)など。最新刊は『日本史 不適切にもほどがある話』(三笠書房)。

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最終更新:2020/03/14 17:00
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