【連載】傍聴席から眺める“人生ドラマ”

元KAT-TUN・田口淳之介「カップル裁判」のウラで……“猫”に助けを求めた42歳女の「大麻所持裁判」

2019/07/31 14:00
オカヂマカオリ
「東京高等地方簡易裁判所合同庁舎」Wikipediaより

 殺人、暴行、わいせつ、薬物、窃盗……毎日毎日、事件がセンセーショナルに報じられる中、大きな話題になるわけでもなく、犯した罪をひっそりと裁かれていく人たちがいます。彼らは一体、どうして罪を犯してしまったのか。これからの生活で、どうやって罪を償っていくのか。傍聴席に座り、静かに(時に荒々しく)語られる被告の言葉に耳を傾けると、“人生”という名のドラマが見えてきます――。

 東京には「東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎」が、千代田区・霞が関にあります。文字通り、高等裁判所(第二審)と地方裁判所(第一審)などが同じ建物の中にあり、7フロア164室で、平日の午前9時~午後5時に裁判が開かれています。刑事裁判なら、メディアで話題になった大事件から、万引きといったよくある事件まで種類はさまざま。さらに、事件の当事者が実際に“登場”するので、繰り広げられる裁判は非常に見応えがあります。

【#001号法廷】

罪状:大麻取締法違反
被告:A子(1977年生まれ)
逮捕に至る経緯:平成31年4月深夜、六本木Aビルの敷地内で職務質問したところ、財布の中にビニール袋に入った大麻を所持していたため逮捕。当人は「黒人にもらったからわからない」と供述。

 元KAT-TUN・田口淳之介&小嶺麗奈の“カップル裁判”がメディアを騒がせました。これと同じ「大麻取締法違反」なのに、報道されることもなく、同時期にひっそり開かれた裁判があったのです。A子は現在42歳で、これまでに大麻を吸引したのは2回。1回目は17歳の時で、2回目は数年前と、かなりのブランクがあります(あくまで自己申告なので、真相はわかりませんが)。そのうえ、今回は“所持”のみ。つまり「吸っていなかった」という、なんだかぼんやりとした事件……。


 それだけでなく、実は前科があるA子。酔っぱらってカラオケボックスのガラスを割り、逮捕された事があるそうですが、これって正直、謝罪と弁償で済みそうな案件。それなのに逮捕されるって、当時A子が相当厄介な状況を引き起こしていたことがうかがえます。当然ですが、シラフの法廷では、高めのかわいらしい声で「はいっ!」とハキハキ受け答えをしていますが、職質された時、よっぽどヤバい状態だったんでしょう。また泥酔していたのなら、大麻よりアルコール依存の方が心配になってしまいます。

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