【連載】庶民派ブランドの落とし穴

ZOZOが抱える“3つの地雷”! 「ゾゾスーツ」のつまずきと、「ゾゾヒート」のいまさら感

2018/12/22 17:00

3.激戦の「保温肌着市場」になぜ参戦?

 高単価商品への取り組みをやめたことも、ZOZOに大きな影を落としています。オーダースーツの失敗で意気消沈したのか、10月以降、12月までに発表した商品は3,800円のブラックジーンズと、990円~1,290円の保温肌着「ZOZOHEAT(ゾゾヒート)」のみ。売上高200億円までには程遠い実績ですから、本来はここで高単価商品を投入すべきだったのです。

 アパレル企業のほとんどは、ウールのコート、ダウンジャケット、カシミヤセーター、革ジャンなどの高単価商品が主力となる秋冬の方が売上高は高くなります。夏の主力商品となるTシャツやポロシャツと値段を比べると、優に3倍は超えるでしょう。にもかかわらず、ZOZOはこの秋冬、低単価商品のみの投入で終わり、12月現在、200億円に到達することは極めて難しくなったと考えられます。しかも、ユニクロのベストセラー「ヒートテック」だけでなく、しまむらの「ファイバーヒート」、グンゼの「ホットマジック」、イオンやイトーヨーカドー、ドン・キホーテなど大手各社が何年間もやり続けてきた過当競争激化の低価格保温肌着市場への後発参入ですから、勝ち目は極めて薄いのではないでしょうか。そもそもゾゾヒートの存在さえ知らない人も少なくないようにも感じます。

 こうした負の状況を反映して、ピーク時には4,800円もあったZOZOの株価は2,300~2,500円くらいにまで低迷しています。一部の熱狂的なファンを除いては静観の構えで、ゾゾヒート発表後もさして上昇していません。根本から衣料品の製造を勉強しないことには、今後PB「ZOZO」は存続すら難しくなるのではないかと思えてしまいます。
(南充浩)

最終更新:2018/12/22 17:00
流通新大陸の覇者 ZOZOTOWN―週刊東洋経済eビジネス新書No.238
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