【連載】庶民派ブランドの落とし穴

ZOZOが抱える“3つの地雷”! 「ゾゾスーツ」のつまずきと、「ゾゾヒート」のいまさら感

2018/12/22 17:00

ZOZOの失速――3つの原因

 PB「ZOZO」には、3つの落とし穴があると考えられます。それを詳しくみていきましょう。

1.見切り発車すぎたゾゾスーツに失望!?

 インターネット通販市場全体の売上高は年々伸びており、現在は16兆円に達するとの統計があります。そのうち衣料品の売上高はどれくらいかというと、2018年9月25日付「繊研新聞」のコラムで、9500億円とされていました。つまり衣料品の売上高はインターネット市場全体の16分の1未満ということになり、現在のところそれほど大きな市場とはいえません。

 この理由については諸説あります。代表的なものは「1.試着できないから通販で服は買いにくい」「2.インターネット通販では低価格衣料品が売れている」の2つ。1の説だと、通販そのものが衣料品を売りにくいということになりますし、2の説だと、枚数は売れているのかもしれませんが単価が安いために合計金額も低くなるということになります。個人的には両方が混然一体となったのが9500億円という結果だと考えています。

 計測用の「ゾゾスーツ」は、この「試着てきない」という問題を解決するために開発されたはずでした。しかし、ここからZOZOブランドの蹉跌が始まります。当初、発表されたゾゾスーツは、着用してスマホと連動させれば何秒間かで体の全サイズが計測できるというものでした。そのため、申し込みが殺到したものの、一部のインフルエンサー以外を除いてはさっぱり配布されず。そして4月下旬になって、突如としてこの機能のゾゾスーツではなく、水玉柄の新型のゾゾスーツを配布すると発表したのです。

 新型ゾゾスーツは、夏頃までにほぼ配布されましたが、計測精度は低く、サイズが大きすぎたり小さすぎたりする例が相次ぎ、それがインターネットで拡散されました。ここでゾゾスーツの信頼性は大きく低下したのです。当初のゾゾスーツのままだったなら、もしかすると満足度も高かったのかもしれません。しかし、結局量産できなかったということは、何かがあったということ。その要因を検証せずに、ゾゾスーツを大々的に発表したZOZOは、見切り発車といわれても仕方がないといえます。


流通新大陸の覇者 ZOZOTOWN―週刊東洋経済eビジネス新書No.238