『やってはいけない歯科治療』著者・岩澤倫彦氏インタビュー

信用できない歯科医院を見抜く6つの点! セラミック矯正・インプラント治療の盲点も

2018/10/26 15:00

専門医がやるべき「矯正」&「インプラント治療」

『やってはいけない歯科治療』(小学館新書)

 前述の通り、歯科の世界では、不勉強で不誠実な医師も存在する。それでは、女性にとって、注意すべき歯科治療というものはあるのだろうか?

 岩澤氏は、女性に人気の「セラミック矯正」に疑問を投げかけている。これは矯正したい歯の神経を抜き、鉛筆の先端のようになるまで削って、その上にセラミックを被せて見栄えを整えるという施術。

「手軽に短期間できれいな歯並びが手に入る、といううたい文句で若い女性がターゲットでしたが、現在はアラフォー世代にも広がっています。ただし、歯列矯正治療の専門医は、『セラミック矯正』に否定的です。神経を抜くことで歯の寿命が短くなること、噛み合わせが狂ってしまう場合があるからです。セラミック矯正を受けた後に、『食べ物をちゃんと噛めない』『頭痛、肩こりが消えない』『神経を抜いた歯の根に炎症が起きた』などの症状を訴える人が続出していますが、そうした情報はネットに出てきません」

 さらに、セラミック矯正同様、「インプラント治療できれいな歯が手に入ると、安易に考えるべきではない」と、岩澤氏は警鐘を鳴らす。

「チタン製のボルト(人工歯根)を顎の骨に埋め込み、セラミックのきれいな人工歯を装着する『インプラント治療』は、経験と高い技術力が必要です。しかし、高額な費用を目的に、経験や知識が浅い歯科医師の施術によるトラブルが絶えません。また施術後も、半年に1回はメンテナンスが必要になるのですが、それを伝えないクリニックも多いのです。専門的な手入れをしないと、インプラント周囲炎を起こすことがあり、最悪の場合は抜くしかなくなってしまいます」


 患者からすれば、腕の良い歯科医師を選ぶことが必須といえるが、ここにも落とし穴がある。インプラント治療について、「専門医」「認定医」といった称号を掲げている歯科医師が存在するが、これらの肩書は数ある関連学会がおのおのの基準で出しているだけのもの。ホームページに「認定医」と書かれている歯科医師でもインプラント初心者の可能性がある。

やってはいけない歯科治療 (小学館新書)