『やってはいけない歯科治療』著者・岩澤倫彦氏インタビュー

信用できない歯科医院を見抜く6つの点! セラミック矯正・インプラント治療の盲点も

2018/10/26 15:00

 街の至る所に点在し、今やコンビニの数より多く存在している歯科医院。それだけあれば、歯科医師によって知識や技術にかなり差がでてきてしまうのは当然で、利益のために無茶な治療を勧めてくる医師も決して珍しくないという。そのようなレベルの低い歯科医師の実態、問題のある歯科治療法や信頼できる歯科医院の選び方などを、『やってはいけない歯科治療』(小学館新書)の著者である、ジャーナリストの岩澤倫彦氏に聞いた。

■常識的な知識さえもない歯科医師が増えている?

 日本全国の歯科医院の数は、厚生労働省の統計によれば、2018年1月末現在、6万8791施設もあるという。しかし、その歯科医師自身の知識や技術には大きく差があり、信用できないこともある、と岩澤氏は指摘する。

「医師に比べて、歯科医師は科学的根拠を元にした治療を行う意識が希薄な傾向にあります。また、近年になって歯科治療は大きく進化しており、かつての治療法は通用しなくなっています。それなのに、最新の理論や技術について学ぶこともなく、『これまでこうだったからいいんだ』と、古い治療法を続けている歯科医も存在します」

 岩澤氏によると、その理由の一つに、歯学部の学力レベルが極めて低下していることが考えられるという。医学部の偏差値は、最低でも65以上だが、歯学部では偏差値30台の大学すら存在する。となれば、治療の質を疑わずにはいられないのが素人の正直な気持ちだろう。


 また、医科と歯科ではキャリアモデルも異なる。医科の場合、学校を卒業後、一定期間は病院に勤めて、10〜20年は経験を積み、スキルに磨きをかける。それから開業するので、医師として一定レベルに達しているのが一般的だ。

 一方、歯科は、国家試験に合格し、歯科医師資格を取得してから、最低1年以上臨床研修が義務付けられているものの、比較的若いうちに開業するケースが多い。知識、技術、倫理に関して未熟なまま、歯科医師として一人前とは言い難い状態で「お山の大将」になってしまう傾向が強いようだ。

 それ故なのか、教育を受けたはずの知識も危うい歯科医師も少なくないという。

「男性と違って、女性には特有の生理周期があるため、ホルモンバランスの変化で歯肉など口腔内に影響が出ることを知らない歯科医師が意外に多いのです。例えば、更年期には女性ホルモンの低下により歯周病になるケースがありますが、それを知らない歯科医師は、治療効果がないと言って歯を抜いてしまうこともあるので、注意が必要です」

 患者にとって「抜歯」は、最後の選択だ。虫歯が進行した状態であっても、歯を残すために、マイクロスコープ(歯科顕微鏡)を使用した高度な「根管治療」などの治療手段が残されている場合もあるという。しかし、患者に治療の選択肢があることを示さず、安易に抜歯して、インプラントなどの高額治療を勧める歯科医師もいると、岩澤氏は語る。


やってはいけない歯科治療 (小学館新書)