[女性誌速攻レビュー]「GINGER」8月号

男性に対しては奥手だけど「膣トレ」はする!? 「GINGER」女子、恋愛観とセックス観の乖離

2018/07/08 16:00
ginger8gatugou
「GINGER」(幻冬舎)2018年8月号

 今月の「GINGER」(幻冬舎)の特集テーマは「素敵なコンプレックス」です。出ましたよ、唐突な自己啓発特集。以前も、1冊を通して「愛」について語るという、ファッション誌らしかぬトンデモ特集の号がありましたが、今号もまた「コンプレックスの扉を開こう」「幸せを呼ぶネガ→ポジ思考」「弱みが強みに変わった瞬間」……と著者の不安を煽る企画が目白押しです。ページをめくるのが恐ろしいですが、早速中身をチェックしていきましょう~。

<トピックス>
◎弱みが強みに変わった瞬間
◎実はみんな抱えてる! 恋愛コンプレックス
◎セキララVOICE「理想のセックスは週に1回!?」

重すぎる“コンプレックス”特集を読者はどう受け止めればいいのか

 冒頭でも述べた通り、今月の「GINGER」の特集テーマは「素敵なコンプレックス」。「コンプレックスとはその人の“短所”なのでしょうか?」「(コンプレックスを)どう受け入れて、どう付き合っていくか―コンプレックスは、自分らしさを見つける“素敵なきっかけ”なのです」という提言の元、表紙に登場した石原さとみのインタビューが始まります。

 外見や仕事について、他人と比べて悩みながら試行錯誤を繰り返した20代を経て、現在では「自分が大切にしたい人間関係や必要なモノが定ま」り、「肩に力が入るようなこともぐんと減りました」と、さわやかに語るアラサーの石原。同世代の「GINGER」読者も、「わかるわかる~」と気軽に共感できそうな内容かもしれません。

 しかし次ページから始まる「コンプレックスの扉を開こう」では、女優の大竹しのぶ、作家の原田マハ、ヘア&メイクアップアーティストの藤原美智子、精神科医の名越康文といった「その生きざまが、生み出す作品が、私たちを魅了し続けるカリスマ」から、濃厚で有難いメッセージが続き、急に背筋を正して読み込まなければならないモードに。


 さらにページをめくると、「GINGER」モデルである山田優、桐谷美玲、岸本セシル、近藤千尋たちが、自らのコンプレックスを赤裸々に告白。ダイエット&リバウンドに苦しんだ日々、仕事のストレスからお酒を飲むようになってしまったエピソードのほか、ネット上での中傷に悩んだ過去など、当時の葛藤やストイックな努力の裏側を明かしているのです。

 そしてインタビュー企画のクライマックスを飾るのは「弱みが強みに変わった瞬間」。フリーアナウンサーの田中みな実が、“ぶりっ子”キャラによって「完全に王道から外れた。色モノ担当だと思われていた」局アナ時代から、現在の“闇が深い”キャラまでを振り返り、自身の“イメージ”をめぐるコンプレックスとの付き合い方を語ったかと思えば、国民的スケーター・浅田真央の姉である浅田舞が「妹コンプレックス」に葛藤した日々を明かすという……。そして“性同一性障害”を公表し、2017年に男性から女性への性別適合手術を受けたGENKINGは、「コンプレックスって克服すること以上にその過程に意味がある」「(コンプレックスは)新しい人生が始まる扉。私にだって叶えられたんだから、みんなも叶えられるって思わない?」と読者に語りかけます。

 ……重い。重すぎる。軽い気持ちでファッション誌を読むような気持ちでは、とても受け止められない重みと切実さが、そこにはありました。もちろん、ここに登場した3人は、現在ではコンプレックスから解放され、自分らしく生き生きと輝いているのですが、またしても極端思考に走りがちな「GINGER」による、やりすぎ感が否めません。

 パンチのありすぎるこれらのエピソードを“素敵なきっかけ”なんてポエミーなワードで一括りにしていいものなのか。読者だって、「私のコンプレックスなんてまだまだね……」と思うだけなのでは。

 インタビュー企画の合間合間には、体形カバーのコーディネートアドバイス「おしゃれの苦手は克服できる!」「Sサイズのための素敵なスタイリングルール」、またメイクのお悩み解決アドバイス「ヘア&メイク 小田切ヒロさん発『目が小さい』なんて言わせない!」などがはさまれていましたが、正直“取るに足らない小さな悩み”として流し読みすることしかできませんでした。


GINGER(ジンジャー) 2018年 08 月号 [雑誌]