仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

指原莉乃は、ポスト・石橋貴明? 巧妙な“ブスイジり”テクニックを読み解く

2018/07/05 21:00

指原のブスイジりはここがすごい!

 指原のすごいところは、「やりっぱなし」にしないところである。指原は番組放送後、自身のインスタに、出身地である大分県のサッカーチーム、大分トリニータのユニフォームを着た「自撮り」をアップし、「日本代表ガンバレ~!」と言葉を添えた。そして「#お前の自撮りじゃ頑張れない」「#ロシアまで届かない」「#都内出られない」というハッシュタグまで添えてみせたのだ。

 一般人をバカにしたままでは悪いから、嫌いなオンナ、つまり自意識がブスなオンナをあえて演じ、「私の自撮りは、ロシアまで届かないどころか、都内を出られません」と自虐して見せたのである。一般人を斬るだけでなく、さらに強く自分を斬ることでバランスを取り、文句を言わせないようにしているのだろう。

 SNS上のイヤなオンナネタは、今や指原の十八番と言っていいのではないか。イヤなオンナの個人名をあげる必要はないので、自分の評判を下げることなく、悪口が言えるからだ。自意識が強い、もっと言うと、自分以外好きではないといった若い世代にはウケることだろう。

 しかし、長い目で見ると、どうなのだろうか。芸人の横澤夏子も、よくイヤなオンナネタで登場するが、指原も横澤も「文春」が企画する「女が嫌いな女」にランクオンしている(2017年版で、指原は12位、横澤は30位)。人気があるだけに、アンチも多いと言うこともできるだろうが、ある程度の年齢だと予想される「文春」読者層には、必ずしも「オンナの悪口」が受け入れられていないと見ることもできるのではないだろうか。

 悪口は一種のエンターテインメントなので笑いを起こすが、人は笑っているようで、「この人、ほかの場所では私のこと悪く言っているんだろうな」とシビアに見ているものである。人は悪口を言うのは好きでも、悪く言われるのは大嫌いだからである。


 こんなことを、賢い指原が気づかないはずがない。次にどんな凝った“ブス斬り”を仕掛けてくるのか、怖いような楽しみなような気分である。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2018/07/05 21:00
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