カルチャー
『リアル風俗嬢日記』著者インタビュー・前編

「調教されて風俗入り」は意外と多い? “家畜部屋”で暮らした女性の“リアル”な過去とは

2018/05/12 19:00

 そのスマホ広告は、誰でも1度は見たことがあるはずだ。可愛らしくポップでライトなテイストの、風俗嬢が主人公の漫画広告を。引き込まれるように思わずクリックした人も少なくはないだろう。

 どこにでもいる地味女子の、風俗嬢としての日常を描いたコミックエッセイ『リアル風俗嬢日記〜彼氏の命令でヘルス始めました』(竹書房)。

 リリースされるや、電子コミックサイト「めちゃコミック」の総合週間ランキングでナンバー1にランクインし、現在も高順位をキープ。5月17日には単行本第2弾も発売される同作は、作者であるΩ子さんの実体験がベースとなっている。

 「彼氏の命令」という、聞けば聞くほど理解しがたい“風俗入りしたきっかけ”や、世間一般のイメージにある“やさぐれて闇を抱えた風俗嬢像”を塗り替える、仕事に対する思いなど、リアルな本音をΩ子さんにうかがった。

――同作が漫画化された経緯を教えてください。

Ω子さん(以下、Ω) 働き始めた当初、風俗店特有のシステムや、変わった性癖のお客様と触れ合うなかで、「こういうことを漫画にしたら面白いのになあ」と思っていました。もともと漫画を描くのが趣味だったので、そうした、自分が面白いと思った日常を反映した4コマ漫画をTwitterアカウントにアップするようになったのが、2016年の春頃でした。そうしたら、それから2カ月足らずで現担当編集さんから「連載しませんか」と声をかけていただき、びっくりしました。まさか仕事につながるとは思っていなかったので。

担当編集 その頃、数人の風俗嬢の方のTwitterアカウントをフォローしていたんです。あるときを境に、みんな同じ漫画を「あるある!」「わかる!」なんて言いながらリツイートしだして。それが、Ω子さんの漫画でした。何度も流れてくるんですよ。風俗嬢の方々に、かなり刺さったんだろうなあ、と。

<プレイ中、感じていないのがバレるから目を開けられない>

<目は口ほどにモノを言う>

 などの“風俗嬢あるある”を、わかりやすくユーモアたっぷりに描写した4コマが、瞬く間にバズった。『リアル〜』でも、嫌な客を満足させなきゃいけないときは、「『チンコ頑張れ! チンコ頑張れ!』とチンコと会話するようにしている」や、クリトリスと入り口をこねこねとする男に対し、「うどんか!!」とツッコミを入れるなど、ライトな下ネタは同業者でなくともくすりと笑ってしまうはずだ。

――同業者からの共感は、うれしかったですか?

Ω そうですね。当時は同業者や元同業者の友人が1人もおらず、1人で考えて1人で描いていたので、同業者の方に「面白い」と言っていただけたのはうれしかったし安心しました。

――電子コミックサイトのレビューを読むと、「こんな世界があるんだと、知らない世界を面白く知れてよかった」など、一般読者からも好評を博しています。

Ω それは意識して描かせていただきました。風俗を舞台にした漫画って、お客様をひどく描いたり、風俗嬢がやさぐれていたりする作風が多いな、という印象が強いですよね。でも実際に働いている身としては、「わりと楽しいこともあるのになあ」と。そういったことを伝えたくて、漫画にしたかったという側面もありますね。

――フラットで等身大で、作中の至る所にユーモアが散りばめられ、これまでの“風俗=闇”といった印象が払拭されるのが、Ω子さんの作風の特徴ですよね。一方、唯一、不穏な雰囲気を醸し出しているのが、風俗入りしたきっかけです。

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