コラム
今井舞の「週刊ヒトコト斬り」

饒舌な貴乃花親方のブログと似ているもの

2018/02/02 21:00
貴乃花部屋公式サイトより

――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!

◎似た者同士
 ダンマリ一転、ニコニコキャッキャの貴乃花親方。理事選直前、弟子の十両入りの記者会見とも重なって、ブログも突然、堰を切ったように饒舌に。ダンマリはダンマリで「変」であるが、しゃべればしゃべったで、やっぱり見る者をヒヤヒヤさせる貴乃花親方。特にブログの内容が……。長さと支離滅裂がもうMisonoレベル。本来ならテレビの画面に映されるようなシロモノじゃないんだけど。流れで。

 饒舌な割には、ちょっと何言ってんのかわかんない電波のベクトル、これどこかで見たことあるなと思ったら、某有名おかきメーカーのHPと同じなのであった。

 ここのおかき、お手頃価格でおいしくて、特にカレー味のなんて、送ると相手にすごく喜ばれて、ちょっとした贈り物に重宝しているのだが。店舗がなかなかないもんで、リピーターになる人は必ずここのHPを通るハメになる。送る前に一言、「ここの思想とは一切関係ありませんので」と釘を打っとかなきゃならない、衝撃の「憂国・警世メッセージ」がドーーーン!!

 長い長い長い文章の中で、主語と述語が今ひとつかみ合わず、支離滅裂なのだが、訴えたいビジョンはグイグイ来るあの感じ、双方実によく似ている。あの方向性の思想の界隈で、文章が上手な人っていないのだろうか。今後の研究課題としたい。

◎流出の余波
 仮想通貨、大流出! わー、えらいこっちゃ! 座ったまま右から左に稼げるといううわさの、あの仮想通貨がぁぁぁ!

 今回一番えらいこっちゃ状態なのは、「上見て暮らすな、スパ見て暮らせ」でおなじみの「週刊SPA!」(扶桑社)編集部かもしれない。

「よし! 次号は『仮想通貨クライシス! 無一文中年続々の悲劇!』で行くぞ!」
「でも編集長、先号で『仮想通貨で始まる中年からのパヤパヤ人生』って企画やったばっかっスよ。正反対の内容になりますけど?」
「いいんだよ。どっちにしろ、それが俺たちの読者が喜んでくれる記事なんだ」
「……わかりました編集長!」

 で、どのみち部数は落ちていくという。出版自虐物語でした。

◎唯一無二
 コソコソやっては一発で吹っ飛ばされる、有名人VS.マスコミの不倫攻防。エスカレートする一方のタイマン勝負に、若干食傷気味だったところへ、風穴をあけた小泉今日子。「不倫してますが何か」。いや、何かってことはないと思うが。暴かれる前に自分から、のベクトル。極めて私的な問題であるという点の強調。交際はしてます。仕事でもプライベートでもパートナーです。お互い責任を持って諸々対峙していきます。以上です。……一周回って、何も言えねぇ。

 だからって、桂文枝がマネして同じこと言っても袋だたきだろうが。小泉今日子だからこその、この空気感、この結界。ま、なかなか同じケースは成立しづらいだろうが。古巣に迷惑はかけない。向こうからもかけてもらいたくない。グッバイ、バーニング。グッバイ、文春砲。グッバイ、不倫アレルギーの世論。気付くと常に違うダンジョンへ身を置いている、周防も黙る処世術。いやー、マネするヤツは命ないけど。だから誰もマネできない。何があろうと、小泉今日子は、とにかく死ぬまで安泰だって話だ。

今井舞(いまい・まい)
週刊誌などを中心に活躍するライター。皮肉たっぷりの芸能人・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)、近著に『気になる「あそこ」見聞録』(新潮社)がある。

最終更新:2019/05/21 20:27
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