今井舞の「週刊ヒトコト斬り」

小室哲哉の引退表明会見に足りなかったもの

2018/01/19 21:00
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2018年1月19日、都内で記者会見する小室哲哉(撮影・名鹿祥史)

――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!

◎注意義務
 小林製薬の西内まりやのマスクのCM。画面に大写しになる西内まりやの弾ける笑顔を見るたび、「え? 映していい映像なのコレ」と一瞬たじろぐ。このCM以外でもう彼女を見かけることもないし。こういう特殊な状態のタレントを使う際は、「このCMは、〇年〇月〇日に撮影したものです」と脇に小さく文字を入れておいてもらえるとありがたい。いや「このCMの契約は、〇年〇月〇日に締結したものです」の方が親切か。「ちなみに契約は〇年〇月〇日までです」とあると、さらに助かる。

 関係ないけど、この「のどぬ~る はだごこちローションマスク」、かなりの人気商品らしい。西内まりやの求心力のお陰ということはないとは思うが。二度見必至で印象に残るってのはあるのかも。トイレの洗浄剤CMに、便器を覗き込む宮川大輔の映像を使ったり。小林製薬のCM戦略って、「あえての無神経」という路線なのかもしれないな。「飲み過ぎ由来の頭痛に、アルピタン!」に広瀬アリス・すず姉妹登用とか、アリかもしれない。小林製薬に限っての話になるが。

◎病のデパート
 小室哲哉、会見。ゲス不倫のおぼつかない言い訳よりも、中心だったのはKEIKOのリアルな病状と向き合ってきた家族としての告白。「私が執行猶予付きで逮捕されたこともあり」なんちゅう話も織り込まれ、C型肝炎、ストレス性の摂食障害、睡眠障害、突発性難聴まで罹ってて、とどめに引退宣言と。いやぁ……。これで「心が弱っていて、つい現実逃避のような形で許されないことをしてしまいました」と、もう1つ正直に踏み込んでくれていたら、完璧に人の心をつかめたのに。惜しい。つかめていたら本が売れたのに。ま、売れなくてもいいのかもう。とにかく本は出すんだろうけど。意外と文藝春秋社から出したりして。バリューセットというオチか。

 核心の部分はうやむやのままであるが。59歳の小室の頭頂部やメイクをじっくり堪能できただけで、もう十分。なんかごめんね、追い詰めて。これから大変かとは思いますが、どうかお体ご自愛下さい。


◎隔世の感
 婚活のCMに使われ話題のドロンジョとブラックジャック。いかにもネットでウケそうなつぶやきなんかをお互いしてるワケだが。ピノコはどうしたピノコは。これから事実婚がバレて泥沼で血の雨って展開か。CMだから、それはないわけであるが。

 もうCMに携わってる人間が、直に読んでない世代ってことなんだろうなぁ。手塚プロの最寄り駅・高田馬場に手塚アニメのキャラクター大集合の豪華イラストが描いてあるトンネルがあるんだけど、4歳の親戚のコと一緒に見た時、ひとつもわからず「トトロは?」「みつはは?」つってたもんなぁ。ああ。君の名は……。

今井舞(いまい・まい)
週刊誌などを中心に活躍するライター。皮肉たっぷりの芸能人・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)、近著に『気になる「あそこ」見聞録』(新潮社)がある。

最終更新:2019/05/21 20:27