サイゾーウーマンカルチャーインタビュー恋人ノロケ投稿をする大人の問題点 カルチャー 夫ノロケ、嫁ノロケ、彼氏ノロケにウンザリなら 「彼氏氏においしいご飯を作るぞ」SNSでノロケる大人と、“いいね”できない大人の心理 2017/12/23 16:00 インタビュー 承認欲求の泥沼にはまる“恋愛モンスター” 恋愛濃度が3倍のまま薄まらない、“恋愛モンスター”が跋扈(ばっこ)する背景には、社会の閉塞感や自己肯定感の問題がある。きちんと段階を踏んで大人になった人たちにとっては、恋愛モンスターの言動が痛々しいものに感じられることだろう。 根本先生の言う自己肯定感とは、「ありのままの自分を、ありのままに認める」こと。人がどう思うかといった「他人軸」で考えるのではなく、「自分軸」で考えるようになれる状態を指す。つまり、たとえ他者から承認されたとしても、それだけでは自己肯定感は育たない。そもそも、その発想自体が「他人軸」の考え方だからだ。 だからこそ、承認欲求を求める人間の業には、歯止めが利かない恐ろしさがある。 「インターネットの普及により、常に衆目にさらされるようになった現在において、他人の目に敏感になる人は増えています。ずっと承認を集めることに執着して、『いいね!』を集めようとしたりとか、自分と恋人が見栄え良く写っている写真を投稿し続けたりといった、承認欲求の泥沼にはまり込む人が増えているように見受けられます」 「みっともない」という価値観の変化 しかし、それだけではなく、日本で「個人化」が進んだことも一因だと根本先生は指摘する。欧米では、人前でキスやハグすることが日本ほど違和感なく受け入れられる風潮があるが、日本でもそうした価値観が徐々に浸透してきているというのだ。 「欧米のSNSでは、臆面なくノロケやリア充アピールをする人が多いと聞きます。『自分が幸せなのを発信して何が悪いの?』という考え方です。日本では、恋人のことや家庭のことを、外で話すのは恥ずかしいこと、みっともないことという暗黙の了解がありました。かつては、外で夫婦が手をつないで歩くこともタブーだった時代もあります。しかし、若い人たちの間でそうした価値観に変化の兆しが見えているのです」 「個人化」の流れが強まるのだとしたら、恋人自慢やノロケがこれからさらに増えていくのだろうか。彼、彼女たちに違和感を抱く人にとってはうっとうしい限りである。 モヤモヤする人は、本当はノロケを投稿したい? では、どのようにすれば、恋人自慢やノロケを受け入れられる、もしくはスルーできるようになるのか。 根本先生によると、「本当はやりたいけど、我慢していること」を他人にされたときに、人はモヤモヤ、イライラする習性があるのだという。そういう人は、まずは「本当は自分もやりたいんだ」と自覚することが大切になる。 さらに、価値観が多様化し、それが可視化されるようになったことも押さえておかなければならない。価値観が多様化しているということは、自分の価値観と合わないものと出会う可能性が高まるということだ。しかも、SNSが普及して以降は、それがすぐに目に入ってしまう。これを解決するためには、自分の価値観を広げるしかない。 「どこかで、『みんな同じでなければいけない』という価値観が日本人の中にはあります。しかし、今それが立ち行かなくなってきている。ただし、価値観を広げることは、自分が他人と一緒の価値観を持たなければならないということではありません。自分と他人とは違うんだ、ということを受け入れることが必要だと思います」 要は、“人は人”、“自分は自分”ということなのだろう。根本先生の言う「自分軸」で生きられるようになることが、SNS時代には、なおさら求められてくるのだろう。 恋愛モンスターが暴れるSNSに嫌気がさしている人も多いが、彼、彼女たちの心理を知ることで、少しは受け入れる気持ちになれるかもしれない。さもなくば、そっとフォローを外すことをお勧めする。 宮崎智之(みやざき・ともゆき) 1982年3月生まれ、東京都出身。地域紙記者、編集プロダクションなどを経て、フリーライターに。カルチャーや男女問題などについてのコラムを執筆している。幻冬舎plus+から電子書籍『あの人は、なぜあなたをモヤモヤさせるのか 完全版』が発売中。Twitter:@miyazakid 前のページ12 最終更新:2017/12/23 16:00 Amazon 敏感すぎるあなたが7日間で自己肯定感をあげる方法 失われていく「みっともない」精神 関連記事 かつてのワルが“立派な人”に!? 海老蔵への「世間の視線」に違和感を覚えるワケ小林麻央さんの死に対して、感情移入する人とできない人の心理とは?ざわちんは、なぜ他人の画像をパクるのか? 「ものまねの影響で罪悪感ない」と臨床心理士談ホストにハマる女性の心理 なぜ借金をしてまで通ってしまうのか?「セクハラ発言が許容される社会へのモヤモヤ」詩人・文月悠光が語る、女性の生きづらさとは 次の記事 浜崎あゆみの“オラオラジャージ”チェック >