サイゾーウーマンカルチャーインタビュー『24時間テレビ』を障害者はどう見る? カルチャー 「バリアフリー研究所」代表・木島英登氏インタビュー 『24時間テレビ』「感動ポルノ」を障害者はどう見るのか?――バニラ・エア騒動の木島英登氏に聞く 2017/08/27 19:00 インタビュー24時間テレビチャリティー 世界的にはチャリティー(慈善事業)からオポチュニティー(機会平等)へという流れ ーーなぜ評判がよくないのですか? 木島 毎年放送される内容は、チャリティーがメインですよね。障害者運動は、世界的にチャリティー(慈善事業)からオポチュニティー(機会平等)へという流れなのに、いつまでもチャリティーをやっているのは時代遅れなのでは、とも感じます。たとえば電車の障害者割引制度とか、そういう割引があるから、(特別扱いされて)障害者の機会平等が進まない。完全な交通バリアフリーが達成されない。もっと障害者に対して普通に接して、社会参画を促せばいいのに、と思います。とはいえ『24時間テレビ』も、障害のある出演者が番組に出ることによって、やりたいことに挑戦できるというメリットはあります。番組だから特別に許可が下りたり、金銭面や人的な周りのサポートがついたりするからです。ただ単純に、やりたいことに挑戦しているだけなのかもしれないのに、取り上げ方が感動ストーリーになるのは、さすがに出演者もわかっていることでしょう。お涙頂戴の番組と感じますが、年に一度ですし、別にいいのではないでしょうか。ちなみに、私のところへ出演依頼が来たことはありません(笑)。 ーー「感動ポルノ」と言われるものについて、どう考えていますか? 木島 うまく翻訳した、よく言ってくれた、という気持ちです。個人的には感動を煽る番組や映画は好きじゃありません。その感動ものに、障害者が使われるのは、しょうがないのかもしれません。だからといって止められるものでもないので、もっとほかの取り上げ方が増えたらいいなとは思います。最近は、パラリンピックの選手がメディアに出ることが増えましたが、重度な障害を持っていながら企業で働いている人や、結婚して家庭を守っている人、お金もうけで成功した人、さまざまな形で社会参画している人など、スポーツ以外の活動についても取り上げてほしいと思います。就労という部分が、生活の基盤として、最も大切な部分ですから。 ーー『24時間テレビ』の裏番組『バリバラ』は、ご覧になりますか? 木島 見ることもありますが、録画してまでは見ていません。先ほどお話しした「障害者の感動以外の取り上げ方」は、『バリバラ』やEテレが、多少なりともその役割を果たしています。ただ、やはりプラスの良いところばかりが放送されることが多いので、現実的なマイナス部分、社会の闇の部分も放送してほしいと思います。マイナス面をテレビで放送しても面白くないのかもしれませんが、実際は悲惨だったり苦労する話、差別を受けたりする場面もたくさんあるので、そういう部分も取り上げて、社会が変わるキッカケ、考えるキッカケを作ってほしいですね。 次のページ 「私自身も考えを改めなきゃいけないのか」と自問した 前のページ123次のページ Amazon 車いすの旅人が行く! 「心のバリアフリー」を求めて日本縦断 関連記事 『24時間テレビ』出演者全員が“マラソン特訓中”! 事務所は「バカバカしい」と悲痛の声SMAPは「木村と中居」だけ? 『24時間テレビ』特集で退所組“抹消”にファン激怒「フジだったら社会問題に」日テレ『24時間テレビ』、“金サライ”の揶揄も放送続くワケ「障害者はテレビで利用されている」ろう者の両親を持つ韓国映画監督が語る、障害者問題「健常者が考えつかない世界がある」身体障害者の劇団主宰が語る、障害者にしかできない表現