サイゾーウーマンカルチャーインタビュー『24時間テレビ』を障害者はどう見る? カルチャー 「バリアフリー研究所」代表・木島英登氏インタビュー 『24時間テレビ』「感動ポルノ」を障害者はどう見るのか?――バニラ・エア騒動の木島英登氏に聞く 2017/08/27 19:00 インタビュー24時間テレビチャリティー 「バリアフリー研究所」代表・木島英登氏 8月26~27日に放送される『24時間テレビ 愛は世界を救う』(日本テレビ系)。今年も障害者や難病患者などのチャレンジ企画が行われるが、近年、同番組における障害者への演出に対し「感動ポルノ(健常者に勇気や希望を与えるための道具)ではないか?」という声も寄せられている。昨年放送された裏番組『バリバラ』(NHK Eテレ)では「検証!『障害者×感動』の方程式」がテーマに掲げられ、本家を「感動ポルノ」と皮肉に扱った内容が大きな話題を呼んだ。はたして『24時間テレビ』は「感動ポルノ」なのだろうか? 6月にバニラ・エア搭乗拒否騒動で話題になった「バリアフリー研究所」代表の木島英登氏に、同番組の障害者の取り上げ方について聞いた。 ■“募金する人が正しい”とされる、押しつけ感のある雰囲気が好きでない ーーご自身も過去のけがで下半身不随になり、車いすで生活する障害者のおひとりですが、『24時間テレビ』はご覧になりますか? 木島英登氏(以下、木島) 自分が障害を持つ前から、『24時間テレビ』は見ていません。もともと、ファンタジーよりリアリティーが好きなので、『24時間テレビ』のように作られた演出で涙を誘うものよりも、リアリティーあるドキュメンタリー番組のほうが好きですね。 ーー『24時間テレビ』のような番組を放送することについて、どう思いますか? 木島 見る人がいるから番組が放送されていると思うんですが、個人的には「皆、なぜ見るのかな?」という思いです。私も、たまたまテレビをつけたら『24時間テレビ』が放送されていて、見たことはあるのですが、どうも心地悪いというか……リアリティーがないんですよね。私が、怪我で車いすの生活になったのは高校3年生のときでした。当時は「もしかしたら、『アルプスの少女ハイジ』のクララのように、奇跡が起きて歩けるようになるんじゃないか」と考えたこともありましたが、そんな奇跡は絶対にありえない。リハビリすれば歩けるようになる病気もあるんでしょうけれど、私のように脊髄損傷で下半身不随になった場合、歩くことは絶対に不可能なんです。 『24時間テレビ』も視聴者からしたら、「かわいそうな人が頑張るストーリー」がわかりやすいから、受けているのかもしれませんね。事実、視聴率も高いから放送しているんでしょうけど、個人的には残念という思いはあります。また、募金もあまり好きではないです。アフリカやアジアで、募金がひどい使われ方をしているのをたくさん見ています。募金しても政治家が半分持っていったりとか、寄付した洋服が流れ流れて露店で売られているとか、使われ方を末端まで管理するのが難しいんですね。とはいえ、寄付自体を全否定しているわけではなく、“募金する人が正しい”とされる、押しつけ感のある雰囲気があまり好きではないです。 ーー近年ますます批判が高まっているにもかかわらず、番組を毎年放送することをどう思いますか? 木島 批判が高まっているといっても、テレビを見ている人たちは、批判されていることすら知らないかもしれません。確かにネット上では批判されているかもしれませんが、今の世の中、テレビを見ているほとんどが高齢の方ばかりで、ネットを見る人たちはテレビを見ていないのでは、と思います。また、『24時間テレビ』に限らず、ネットの評価って基本批判が多いじゃないですか。良い評価ってあまり書かれないので、一概に批判が高まっているとも言い切れません。ただ、障害当事者の中では、あまり評判がよくない印象はあります。 次のページ 世界的にはチャリティー(慈善事業)からオポチュニティー(機会平等)へという流れ 123次のページ 関連記事 『24時間テレビ』出演者全員が“マラソン特訓中”! 事務所は「バカバカしい」と悲痛の声SMAPは「木村と中居」だけ? 『24時間テレビ』特集で退所組“抹消”にファン激怒「フジだったら社会問題に」日テレ『24時間テレビ』、“金サライ”の揶揄も放送続くワケ「障害者はテレビで利用されている」ろう者の両親を持つ韓国映画監督が語る、障害者問題「健常者が考えつかない世界がある」身体障害者の劇団主宰が語る、障害者にしかできない表現 【ジャニーズ情報専用】Twitterアカウント「J担しぃちゃん」オープン! Amazon 車いすの旅人が行く! 「心のバリアフリー」を求めて日本縦断 批判されるのは、それだけ注目されてることでもある