サイゾーウーマンカルチャーインタビュー『24時間テレビ』を障害者はどう見る? カルチャー 「バリアフリー研究所」代表・木島英登氏インタビュー 『24時間テレビ』「感動ポルノ」を障害者はどう見るのか?――バニラ・エア騒動の木島英登氏に聞く 2017/08/27 19:00 インタビュー24時間テレビチャリティー 「私自身も考えを改めなきゃいけないのか」と自問した ーー木島さんといえば、6月に格安航空会社「バニラ・エア」の旅客機への搭乗を拒否され、自力でタラップをよじ登って乗り込んだという、一連の騒動が印象に残っていますが、また同じようなことが起きたそうですね。 木島 このインタビューの直前に、中国の大連に1週間ほど出張していました。関西空港で、行きの飛行機に危うく乗れなくなりそうになりました。「(車椅子利用者であると)48時間前までに事前連絡を行わなかった」のが理由です。利用したのはエアチャイナ(中国国際航空)でしたが、過去に4~5回は搭乗したことがあり、いずれも事前連絡はしなくてもスムーズに乗れていたので、驚きました。翌日の便に変更してほしいと頼みました。バニラ・エアの件があったばかりなのに、「また問題提起しないといけないのか、再炎上してしまうかな」と考えていると、出発25分前くらいに「手伝いは不要です」という文書に署名することで、どうにか乗ることができました。内部でも結構、揉めていたみたいですね。 ーーバニラ・エアの騒動では、事前連絡をしていなかったことへの批判が多かったですね。 木島 そうなんです。飛行機に乗れなくなりそうな現実を目の当たりにして、「私自身も考えを改めなきゃいけないのか」と自問しました。どうして私が事前連絡をしないかというと、大したことを頼まないからです。機内の通路を通る、小さな車いすを用意してもらうのみ。それがなければ、這って乗ります。車いすもバッテリーなどなく、8キロぐらいの軽いもの。中国国際航空から、「復路の便には、機内用車いすを積むよう手配した」と連絡をいただきましたが、実際には積まれてませんでした。小さな車いすひとつ積むことだけに事前連絡が必要というのは、よく理解できません。病人を運ぶのにも使えるから、ほかの航空会社のように標準で積み込んでおいてほしいと思います。 ーー木島さんは、なぜ事前連絡をしないことにこだわるのでしょうか? 木島 「事前連絡がないことを理由に、歩けない人の搭乗を拒否すること」は、私は差別だと考えます。そもそも外国で飛行機に乗るときなど、言葉が通じないので、事前連絡が無理なことがあります。飛行機がキャンセルや災害で飛ばなくなって、急に違う便に乗り換えることもあります。世界の主要な航空会社の中には、医療機器や分解が必要な電動車いす以外のときは、事前連絡が必要ないと明言しているところもあります。24年間ずっと、事前連絡なしに飛行機に乗ってきましたが、考え方を改めないといけないのか、一度、国土交通省に問い合わせてみようと思っています。ところで、出張で訪れた中国はバリアフリーが遅れていましたが、急速に改善の兆しが見られ、中国新幹線も車いす利用者がネット予約で簡単に乗れるようになっていました。いまだに電話で長々と手続きをさせられた上で、車いす席を事前予約しないといけない、日本の新幹線より優れていましたね。 (カワノアユミ) 前のページ123 最終更新:2017/08/28 14:30 Amazon 車いすの旅人が行く! 「心のバリアフリー」を求めて日本縦断 批判されるのは、それだけ注目されてることでもある 関連記事 『24時間テレビ』出演者全員が“マラソン特訓中”! 事務所は「バカバカしい」と悲痛の声SMAPは「木村と中居」だけ? 『24時間テレビ』特集で退所組“抹消”にファン激怒「フジだったら社会問題に」日テレ『24時間テレビ』、“金サライ”の揶揄も放送続くワケ「障害者はテレビで利用されている」ろう者の両親を持つ韓国映画監督が語る、障害者問題「健常者が考えつかない世界がある」身体障害者の劇団主宰が語る、障害者にしかできない表現 次の記事 「Domani」の好戦的座談会、とんだ茶番 >