サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「婦人公論」で暴れるアラ80芸能人! カルチャー [女性誌速攻レビュー]「婦人公論」6月13日号 「婦人公論」の「体の不調」特集で暴れる、冨士眞奈美・吉行和子・仲代達矢ら“あっけらかん”としたアラ80 2017/06/02 19:30 女性誌速攻レビュー婦人公論 熱き魂とファンタジーが共存する名優・仲代達矢 “アラ80女”のかしましい座談会のあとは、これまた80代俳優のインタビュー。「仲代達矢 演じ続ける。悪しきものへ抵抗するために」のインタビュアーは、奇しくも先ほどのページに登場していたエッセイストの関容子です。 6月3日に封切りとなる映画『海辺のリア』の宣伝を兼ねていますが、仲代の生い立ちや無名塾立ち上げエピソードなどかなり盛りだくさん。幼少期に戦争を体験し「爆弾が毎日東京に落ちて、逃げ回っていた。戦争に対する反感の思いは強烈にあります。『鬼畜米英』なんて言っていたのが、8月15日を境に、大人たちが一挙に親米派になったもんですから。その頃から、私にはニヒリズムが備わったわけです」と本人が語るように、仲代の視点はどこか社会に対してケンカ腰。「40歳を過ぎたころ、新しい役者を育てたいと思って、『無名塾』を始めました。妻で女優の宮崎恭子が演出して、私が主演して、教え子たちが周りを固める。そうしたら新聞記者から『ファミリー劇場だ』と言われて、『それがなんでいけないんだ』と喧嘩しました。すると、しばらく批評を書いてくれなくなったりした」。 こんな調子で熱く、力強く舞台の話をしていたと思えば、役者に必要なものは「運」と「血」であるというくだりで「私の父親が不倫の子という話もあります。祖母が若妻だった時分、『旅回りの團十郎』と言われたいい男の役者と逃げて、生まれたのが私の父だとか。確証はないんですけどね。(中略)また、母方の祖父がスパイで、中国人に扮していた、というのは確かなんです」と、夏休みに祖母宅に泊まりに行くと布団の中で「お前もねぇ、時代が時代だったらお姫様だったかもしれないんだよ~うちは藤原の家系だからね~」と繰り返し話すウチのばあちゃん並みのファンタジー。「旅回りの團十郎」「祖父がスパイ」も、布団の中で聞かされた匂いがプンプンします! 「これからやりたい芝居が、まだ30本ほど、とても全部は実現できないけれど、あれこれ考えるのが楽しくて。気力だけはあります。85歳で引退すると言っていましたが、84になった今も演じ足りない。だって、自分はまだ下手なんですよ」 80代になっても「鍼打ってこめかみから血ぃ流しながらうちまで来た」「オマエはすぐ話を盛る」と言い争う友達関係、80代になってもまだまだ自分は下手、もっと演じたいという仕事への渇望……まったく趣向の異なる座談会/インタビューながら、長く元気に生きる人間に共通する、一周まわった“あっけらかん”を見せつけられた思いです。そしてその“あっけらかん”は、選ばれた人間にのみ与えられた妙技なのだということも。(西澤千央) 前のページ12 最終更新:2017/06/02 19:30 Amazon 婦人公論 2017年 6/13 号 [雑誌] 人間って80に近づくといろんな妖怪になるんだわ…… 関連記事 “いい病院の見分け方”特集に「主治医に恋した」読者体験手記を持ってくる「婦人公論」「婦人公論」の熟年婚活必勝法が、「CLASSY.」のトンデモ婚活と同じだった絶望感よ……「理解ある親」と思われたい症候群? 平野レミの「婦人公論」インタビューに滲み出る恐さ「婦人公論」ひとり暮らし特集に響く、「モラハラ夫の呪縛」と「解放後」に苦しむ女たちの悲鳴「婦人公論」“親の老い”特集で、40代~50代が優等生発言を連発する理由 次の記事 泰葉、会見で「怖かった」と記者談 >