仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

“ポジティブ売り”マギーと“ネガティブ売り”塚地――『モシモノふたり』に見る正反対の本質

2017/02/16 21:00

 パンケーキを食べに行った際、塚地はマギーのために店のドアを開けず、それを「俺みたいな者がレディーファーストをやっているって思われたくなかった」と説明した。芸能人である塚地が気にすべきは、カフェにいる数人の視線よりも、マギーやテレビの向こうの多くの女性視聴者に、「顔はアレだけど、気が利いて優しい」と思わせることなのではないだろうか。

 さらに2人は、パンケーキをシェアしていたのだが、お会計の際、塚地はバッグから財布を取り出すのにモタモタし、マギーにきっちり自分の分を出されてしまう。20歳も年下の美女にその仕打ちはないと、スタジオにいるりゅうちぇるや坂下千里子から非難されており、私も同感である。

 ちなみになぜ財布を取り出すのに手間取ったかというと、睡眠時無呼吸症候群を患っている塚地が、就寝時につける機械付きのマスクを大きなバッグに入れて持ち歩いているからである。あまり見た目がいいとは言えないマスクを見たマギーに、「治す方法はないの?」と聞かれた塚地は「しょうがないよね」と答えている。睡眠時無呼吸症候群の患者には、肥満型の男性が多いことがわかっていて、その場合、医師にダイエットを勧められる。塚地の体型から考えて、ダイエットが有効である可能性は捨てきれないが、塚地はダイエットをはじめ、“根本から治す”という発想はないようだ。顔は変えられないが、レディーファーストや、睡眠時無呼吸法症候群の治療など、塚地は“自分で変えられること”を案外やろうとしない。「どうせ俺がやっても無駄だ」という言葉だけならネガティブだが、何かに挑戦することすらしない姿は、実は自分に満足しているポジティブな人のように私には見えるのだ。

 ついでに言うと、ポジティブ売りをしているマギーの方が、私にはよっぽどネガティブに見える。腹筋に筋が走るほどワークアウトをし、自炊してスタイルの維持に務め、バラエティでは相手が先輩であろうと、前に出るため切り込んでいくマギー。その理由を「モデルスイッチでやっちゃうと、バラエティで生き残れない」と塚地に説明していた。かつて『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)で、RIKACOが「有酸素運動をしてダイエットをしている」と話した際、「私は代謝が高いから大丈夫」と若さをアピールして、RIKACOを不機嫌にさせていたが、そんなガッツにあふれた仕事ぶりは、両親の離婚や、極貧生活、いじめられた経験と無関係ではないだろう。

 しかし、マギーは今年「フライデー」(講談社)にHi‐STANDARD・横山健との不倫を報じられている。横山は妻子持ちなので、不倫である。2人はマギーがMCを務める『バズリズム』(日本テレビ系)で共演し、横山の猛アプローチで交際が開始したそうだ。


 売れっ子モデルが、自分より20歳近く年上の子持ちのオジサンに熱心に言い寄られたくらいで、損な恋愛をする。事務所の力で今のところお咎めなしだが、よりによってそんな恋愛を選ぶマギーは、悲しいほどネガティブと言えるのではないだろうか。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、最新刊は『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2017/02/16 21:00
I’m マギー
ネガティブっているのって結構楽なのかも