仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

IMALUの恋愛トークに見た、“親の七光り”で生きてきたがゆえの勘違い

2016/08/18 21:00
imalu_sikujiri.jpg
「そんな名前 欲しくないよ」/ユニバーサル・シグマ

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の芸能人>
「超ペコペコしてんじゃん」IMALU
『幸せ追求バラエティ金曜日の聞きたい女たち』(フジテレビ系、8月12日)

 バラエティ番組で“二世”をよく見かけるが、“ウケる二世”の条件とは何だろうか? まず1つめは、親の知名度が高いこと。2つめは、親に顔が似ていること。美男美女であるより、「親に似てる」方が宣伝効果は高い。3つめは、そこそこいい仕事するが、親ほどの実績はないこと、またそれを気に病まないメンタリティも必要である。親のおかげでラクして芸能界に入った分、成功もしない。プラスマイナスゼロで、視聴者からの嫉妬を回避することができる。

 お笑い怪獣・明石家さんまと大女優・大竹しのぶの間に生まれたIMALUは、本来なら“最強の二世”の座にすぐにつけそうにも思われだが、そうとは言いがたい。IMALUがあまりに不出来だからである。

 『しくじり先生 俺みたいになるな!! 3時間SP!』(テレビ朝日系)でIMALU本人が明かしたところによると、デビュー早々、親のご威光でIMALUにはビッグな仕事が舞い込む。「Zipper」(祥伝社)でモデルデビュー、連続ドラマ出演、山口百恵、松田聖子、新垣結衣などトップアイドルが起用されてきた製菓会社のCMに出演、そのほかにも『おしゃれイズム』(日本テレビ系)のゲスト、『A‐STUDIO』(TBS系)のアシスタントMCを務め、アニメ声優、歌手としても活動していた。全部結果が伴わないが、IMALUは焦らない。なぜなら、親がビッグネーム故にIMALUを怒る人がいないこと、結果を出せなくても、親のおかげで仕事が舞い込むから危機感がないのである。


 その後、大竹とのバーターの仕事ばかりになったIMALUは、自立の必要性を感じ、親の事務所から独立して、自分で新事務所を立ち上げる。事務所のために稼ぐ必要にせまられたIMALUは、トーク番組で「ダメな自分」について話し始めたようだ。8月12日の『幸せ追及バラエティ金曜日の聞きたい女たち』(フジテレビ系)では、2年間彼氏がいない理由を「条件が細かいから」と分析した。IMALUは些細なことで相手に対して冷めてしまうらしい。例えば、年上の彼と付き合っている最中、彼が取引先の部長に遭遇したところ、頭を下げながら商談を始めたのを見て、「超ぺこぺこしてんじゃん」と引いてしまったらしい。

 IMALUは子どもの頃から、さんまにぺこぺこする大人を見て育ってきているので、そういう人が嫌いだそうだが、さんまに媚びる大人も、元カレも、なぜそうしているかと言うと「仕事だから」である。頭を下げて仕事をもらい、その結果もらった金で生活しているのだ。

『そんな名前 欲しくないよ(初回限定)(DVD付)』