栄養ドリンクの真実(後編)

栄養ドリンクに「疲労を取る成分は一切入っていない」! 疲労医学の権威がぶった斬り

2017/02/19 19:00

kajimoto-clinic
梶本先生にお聞きしました

◆健康のための運動が自殺行為になることも

――すでにたまっている疲労には何が有効ですか?

梶本 やはり睡眠が一番です。睡眠は疲れを取るための手段であり、眠気は体からの警告なんです。だから無視してはいけません。眠たいときは、栄養ドリンクなどでごまかさずに寝るべきです。ただ、寝ても疲れが抜けない場合は、前日の疲労が睡眠で回復できるキャパシティをオーバーしているか、睡眠中も寝汗やいびき・無呼吸で交感神経が働き続けて眠りの質が悪くなっているかのどちらか。疲労が回復せずに蓄積すると、老化が進行して寿命を縮めることになるので、まずは睡眠環境を整え、毎朝寝起きの疲れ具合をチェックして、行動量を調整することが望ましいです。

――健康維持の運動も、翌朝疲れが残るようなら、かえって寿命を縮めているということですか?

梶本 その通り。運動が推奨されるのは、肥満による生活習慣病などのリスクを減らすためです。日常生活で体重と筋肉を維持できるのであれば、歩く以上の運動をあえてする必要はありません。健康のためにと、運動やトレーニングを取り入れている人は多いですが、疲労が蓄積するようなやり方は逆効果。動物を使った実験でも、幼児期にたらふく食べさせて運動させた個体ほど早死にするとの結果が出ていますし、実際、健康のためにと始めたランニングやゴルフの最中に命を落とす人もたくさんいるのも事実です。


――疲労をため込まないことが大事なんですね。

梶本 ライオンを見てください。獲物を狩るとき以外はほとんど動かない。そもそも体力づくりに自主トレしている動物なんて見たことないでしょ? 狩りの途中でさえ、疲れたら諦めるんですから。動物は疲労感に忠実なんです。だから「ライオンが過労死した!」なんてことは絶対にありません。疲労感を意欲や達成感で消し去れるのは「欲」の中枢である前頭葉が発達した人間だけです。人間は貪欲ゆえに進歩しましたが、その代償として疲労蓄積による過労死を招いてしまっているんですね。

梶本修身(かじもと・おさみ)
1962年生まれ。大阪大学大学院医学研究科修了。医師・医学博士。現在、大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座の特任教授で「東京疲労・睡眠クリニック」の院長を兼任。著書『すべての疲労は脳が原因I』『同II』(集英社)は15万部を突破するベストセラー。『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学』(テレビ朝日系)、『ためしてガッテン』(NHK)、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)など出演多数。

最終更新:2017/02/19 19:00
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