サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー平野レミも「理解ある親」と思われたい症候群? カルチャー 女性誌速攻レビュー,婦人公論 「理解ある親」と思われたい症候群? 平野レミの「婦人公論」インタビューに滲み出る恐さ 2016/08/02 19:00 [女性誌速攻レビュー]「婦人公論」8月9日号 ■この手のタイプが一番厄介 さて続いては、料理愛好家・平野レミのインタビュー「大変なお嫁さんが来てもお料理好きなら大丈夫」。つい先日、長男でロックバンド「TRICERATOPS」のボーカルを務める和田唱が、女優・上野樹里と結婚したことが発表されたばかり。自由奔放なクッキングスタイルが人気の平野と、憑依型女優である上野のエキセントリックな組み合わせが話題となりました。「親の本音」特集内のインタビューですから、内容は平野がどう子どもたち家族と付き合っているか。一見幸せあふれる素敵なファミリーエピソードですが、よくよく読むと結構怖さもあり、この季節にはぴったりのインタビューです。 結婚後、上野に「私のレシピ本を全部あげたらとても喜んでくれて、早速『あれを作ってみました』『今度はこれを作ります』とか言ってくれるから、うわー、よかったなって」と良好な関係を築いていると話す平野。「私がせっせと食べさせて、せっかくここまで健康な体に育てた息子たちなんだから、店屋物ばかりのお嫁さんだったら、ちょっときついわよね」。結婚した夫に毎食毎食おいしい手作りのご飯を食べさせなくては、平野から嫁とは認めてもらえない。これ結構なプレッシャー。 先に結婚した次男の妻は、「これは大変なお嫁さんが来ちゃったな」というレベルの料理オンチだったようで、「魚の捌き方なんかも全然知らないでしょ。だから私が捌いているときに、『あーちゃん(次男の妻)、ちょっと来て』と台所に呼んじゃうの。そうすると感心して、『あ、最初から教えてもらえばよかった』なんて言って一生懸命に見ている」。そんなレミレッスンが功を奏したのか、今では食育インストラクターの仕事をするまでになったそう。すごくいい話、いい話ですけど……ふと背中に冷たいものを感じるのはなぜ? 料理は大ざっぱ(キャラ)な平野の、意外な一面を感じたのはこちらのエピソード。以前昼間に次男の家を訪ねたときのこと。ピンポンを鳴らしても、嫁は出てこない。「外から見ると電気は点いているのよ。(中略)インターフォンのモニターにこっちの顔は映るから、私が来たということはわかるはずなのね」とそこまで確認した上で、お嫁さんに聞くと「寝てました」と。そして最も怖いのはここから。「そういうときに『本当に寝てたの? 煌々と電気が点いていたのに』なんて疑ったりしないで、私はそのまま受け取るの」。120%完璧に疑っとるやんけっ!! 疑ってるけど、あえてそのまま受け取る……平野もまた「理解があると思われたい」お姑さんの1人。ニコニコ優しく、だけどじりじり確実に自分の「幸せ」に家族を引きずり込もうとするお母さんとは、なんて罪深く、なんて面倒で、なんて人間くさい生き物なのでありましょうか。 (西澤千央) 前のページ12 最終更新:2016/08/02 19:00 Amazon 婦人公論 2016年 8/9 号 [雑誌] でも子どもどこかで「理解のある親であってほしい」と願ってない? 関連記事 「婦人公論」の“新恋人”が誕生か!? 生きる高齢者福祉・氷川きよしを脅かす、綾野剛の「女性論」「内面の美こそ不変」という呪詛で読者を絶望させる、「婦人公論」のエイジング特集「婦人公論」幸運特集で、占いより生命力の強さを見せつけた「こまどり姉妹」の壮絶人生加護亜依の苦しみを宇野千代・田辺聖子が受け容れる! “女”のトリセツこと「婦人公論」100年の重み“近しい関係だからこそウソが大切”と説く、「婦人公論」の義理家族特集 次の記事 SMAPコンサート中止報道の奇妙な点 >