サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「内面の美」という女性誌の呪詛 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「婦人公論」4月26日号 「内面の美こそ不変」という呪詛で読者を絶望させる、「婦人公論」のエイジング特集 2016/04/23 19:00 女性誌速攻レビュー婦人公論 「婦人公論」4月26日号(中央公論新社) 今号の「婦人公論」(中央公論新社)、特集は「いつまでも若々しい人、くすんでいく人」です。“美魔女ブーム”も今は昔。世間の風潮は“年相応の美しさ”に向いているようですが、リードの「決して若作りしたいわけじゃない。けれど、年齢より老けて見られるのはショック」というのもまた本音。そもそも“年相応の美しさ”というのがわかりづらいのです。 特集冒頭で美容ジャーナリスト齋藤薫氏が言うには「『大人の知性』を持つ人はどんなシワをも吹き飛ばす」のだそう。お金さえあればアンチエイジングが可能な世の中、あえて「何もしていない知性美」が称賛を浴びるということです。しかし齋藤氏のいう知性美とは、「ズバ抜けたセンス」「真の社会性」「強い存在感」「きらめく生命感」に裏打ちされたものであり、それはそれでため息しかでません。さらに「知性、洗練、生命感……不思議だけれど、そのどれか1つを持っている人は、結局3つとも全部持っている。大人になるってそういうことだから」と畳みかける。結局「年相応の美しさ」がなんであるかはよくわからなかったのですが、「美しさ」という言葉の持つ曖昧さが、いつも女を追い詰めるということだけは理解できました。 <トピックス> ◎特集 いつまでも若々しい人、くすんでいく人 ◎江原啓之 連載「あなたはどちらの未来を選ぶ?」 ◎相川圭子×草刈民代 神経と体を深く休ませる究極のアンチエイジング「ヒマラヤ瞑想」とは ■花(知性美)より団子(しわ取り)? 「婦人公論」の特集は毎度のように、冒頭で高らかに精神論を掲げるものの、徐々に「しかし現実は……」を見せつける構造になっていますが、今回も風吹ジュンや賀来千香子らがインタビューで「生き方が顔に出る」「笑顔こそ最高のアンチエイジング」と語り、その合間に「声は老いる。今から『伸びやかで高い声』になる法」「もう“間延び顔”とは言わせない」「『筋膜ストレッチ』でむくみ、くすみ知らずの体へ」といった内容を挟み込んでいます。 “法令線、みんなで刻めば怖くない”ではないですが、年を取ればみんなこんなもんでしょ……という女の共同戦線のようなものが「老い」にはあるような気がします。では「婦人公論」コアターゲットである50代、60代の女性たちは、どんなときに己の「美」と向き合うのか。「私の中の“くすみ”を指摘された衝撃の瞬間」には、読者から寄せられた「まだまだイケてる、と思っていたのは自分だけ? 気がつくと、格好悪くて情けない事態になっていた」瞬間がズラリ。「久しぶりに会う学生時代の友人との女子会でゴテゴテに着飾りすぎて撃沈」「可愛がっている姪が『おばちゃんの感覚、古すぎて恥ずかしい』と一蹴」「白髪を染めてないばっかりに韓流アイドルに会えるチャンスを逃す」「20代の子に法令線を『顔に傷がありますよ』と指摘された」……。自分が鏡で見ている顔と、他人が見ている自分の顔とのギャップ。これさえ解消できれば美醜に対してあれこれ悩む必要もないのでしょうが、そうは問屋が卸さないのが女の自意識。 12次のページ Amazon 婦人公論 2016年 4/26 号 [雑誌] 関連記事 不満を共有し読者に“自分語り”の快楽を与える、「婦人公論」の奇跡のシステム「婦人公論」で大塚家具・久美子社長が語った、父への思いと家族の軋轢「婦人公論」矢口真里のお詫びよりも深刻な、シングル・ファザーの差し迫った現状「いい妻・母・嫁」願望を叫び飛ばせ、と真面目に語る「婦人公論」「婦人公論」で江原啓之がズレた毒母論を展開!