[女性誌速攻レビュー]「CLASSY.」4月号

男ウケ服に、男性読者が「正解すぎてびっくり」! 今月も謎の宴会芸を繰り広げる「CLASSY.」

2016/03/18 17:00

 この「モテ服だけで着回し」スタイルを大絶賛しているのが、「CLASSY.」名物男性座談会です。「提案されている洋服が正解すぎてびっくり」「きちんと感があって品があるし、なんかふわふわしていないというか」「やっぱりパートナーとなる女のコは賢くあってほしい」。この座談会の意見を総括しますと、女性の「モテ服」には4つのキーワードがあるようです。

 一つは「親しみやすい」で、パーカーやチェックシャツなどのカジュアルアイテムを指しているよう。そして「健康的」。ショートパンツや白スキニーデニムがそれに該当。さらに「きちんとしてる」がトレンチコートやコットンシャツで、「いい女」はワンピやタイトスカート、ノースリニットなどが紹介されています。

 一方メタメタに言われているのが、ゆるふわスタイルと男前スタイル。「ビジューとか、花柄とかリボンとかをふんだんに使っている服を着ている人は正直不安になる」「レースもそうだけど、花柄とかビジューとか、チュール、リボン……そういう女のコならではのデザインって、男はそんなに好きじゃない」と今号も執拗にビジューを攻撃していますが、はっきりいって昨今こういうファッションを着こなせるのは宮川大助・花子の花子師匠くらいですし、花子師匠には大助師匠がいるから安心してください!

 すっかり座談会に熱くなっている間に、告られの魔術師さとみは同級生もイケメンエリート同僚も袖にして、なにかとサービスしてくれるラテアート達人の8歳年上カフェ店員にプロポーズされていました。さとみよ、ラテアートはいつか消えるが、年齢差は一生ついてまわるぞ。さとみよ……。

■一番手女として脳裏に浮かぶのは押切もえ……


 前述の座談会での発言を読んでいると、男の人というのは「自分たちが理解できないもの」に対する潜在的な恐怖があり、それはファッションというより「自分たちが理解できないものを選んで着ている女」に向けられるのだなとしみじみ感じ入ります。「仕事ができなくても可愛いと思えるのは、正直入社2年目の24歳くらいまでですよね。あとはしっかりと仕事をしてほしいもの」とのたまう彼らですが、だからといって女が頑張って努力して自分たちを追い越すのも困る。そんな男たちのしゃらくささ……いや繊細な気持ちを慮ったページが「“No.1にならなくていい”は本当だった」。

 SNSで、仕事で、恋愛で、合コンで、ついつい頑張りすぎてしまう女たちに、「実は、目指すべきは一番手よりも二番手。ほどほどの位置が幸運を呼ぶ」と呼びかけているこの記事。「常に全力で抜け目がないと、他人の目には人間味がないように映る」「力を抜いた自分を認めてあげられるようになれば、今まで以上に愛されるはず」「一番手の女性と一緒にいると、男性は自分の内面にある自信のなさを刺激されてしまい、辛くなる」「二番手の女性はどこか抜けている部分があり、自然と男性が役に立ちやすい状況をつくっている」などなど、精神科医や心理カウンセラーが「一番手がどれだけ損をしているのか」をつらつらと語っています。

 では実際にどんな女性が「二番手」なのか。たとえば「女子会」では「常に幹事役でお店選びも厳しめ」なのが一番手、それに対して「常に誘われ待ちで面倒なこだわりなし」が二番手。「恋愛」なら「スペック重視で自慢できる彼じゃないと嫌」が一番手、「見た目や年収よりも、価値観が合うことが最優先」なのが二番手。「仕事」では「率先してリーダーになりたがる」が一番手で、「目立たないサポート役にまわる」が二番手。なんというか、一番手の頑張りがあるからこそ、二番手がおいしいところをかっさらえるというふうにしか見えないのですが……。

 永遠に勝ち続けることはもちろん不可能です。しかし勝つ努力を放棄したら、一番を目指すことをやめてしまったら、二番手にすらなれないのが人生ではないでしょうか。男性の自信のなさを刺激しないように生きるのも一つの術かもしれませんが、そのことと、懸命に努力している人を「生き方下手」とうすら笑うことは、イコールであってはならないと思うのです。

 オレたちを不安にさせないファッションで、オレたちのコンプレックスを刺激しないで、オレたちより上にはいかないで、オレたちを支えて……どう考えてもそれ、オマエの母ちゃんしかいないだろ……。繊細男子たちには、いい加減メンタルのオムツも取れてほしいなと願わずにいられません。


(西澤千央)

最終更新:2016/03/18 17:00
CLASSY.(クラッシィ) 2016年 04 月号 [雑誌]
押切もえ的な一番手女子に肩入れしちゃうのが、サイ女読者の性……