[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」1月22日

「婦人公論」でたかじん長女が、愛憎入り乱れる父への思いを告白

2015/01/19 21:00

 誰かのせいにしたり、時代を恨んだり、良くないことは全て自分以外の誰かのせいにすることは簡単。でも結局それは自分の人生を他人に預けていることではないか。“全てを自分に引き寄せ獲得する”という渡辺氏の生き方は、人生が好転しないのは全て夫の、子どもの、姑の、ご近所の、女友達のせいであるとしたい「婦人公論」読者には、なかなか耳が痛いお説教かもしれません。

 宗教的なバックボーンがあるからといって、常にご機嫌に幸せに暮らせるわけもなく、渡辺氏自身も「私も小さいことに腹を立てたり、癪にさわって不機嫌になることもあります」。また36歳という若さで学長になったときの風当たりの強さからうつ病を発症、60代半ばで膠原病、骨粗しょう症で圧迫骨折も3回ほど。「(病気になるたびに)神様に抗議したのですが、神様は手紙もファックスもくださいませんでした」と、出ました! 齢八十八の修道女だからこそ沁みる神様ギャグ!!

 梵字をなぞり、風水にすがり、脳科学を信奉するのもアリかもしれませんが、結局は“自分の人生自分で生きます”という気概なくして“幸運”はやってこないのだと痛感した渡辺氏の御言葉。この手の話につきものである「感謝」という言葉をほとんど使っていないのも、修羅場かいくぐってきた女の凄味を感じます。お礼状の申し子ベッキー&森口博子に、ぜひともオススメしたいインタビューでした!

■関西のドンにはなれても、父親にはなりきれなかった男

 続いて紹介したいのは、故やしきたかじんと長女の物語「長女が語る『やしきたかじん』 父との大切な思い出を、捏造ストーリーで壊さないで」です。いま、話題を集めているこの騒動。作家・百田尚樹氏が、やしきの死の直前に結婚して献身的な看病を続けた妻・さくら氏との愛の記録を『殉愛』(幻冬舎)として刊行。それに対し、やしきの長女が出版差し止めを求める訴えを起こしました。多くの週刊誌がベストセラー作家・百田に怯む中、こちら「婦人公論」の女気と申しましょうか、4ページを使って長女の独占告白を掲載しています。『殉愛』の真偽を問うことはもちろん、今まであまり語られることのなかった「父やしきたかじん」にページが割かれています。


婦人公論 2015 年 1/22 号 [雑誌]