サイゾーウーマンカルチャーインタビュー消費とオヤジを拒否する女子の可能性 カルチャー ギャル文化以降の女子カルチャーとは【後編】 変容するギャル以降の女子カルチャー――消費を拒否、文化系オヤジを拒む女子の可能性 2014/09/04 21:00 女子カルチャーインタビュー米原康正 ――土壌がSNSに移った現在~今後、新しい女子カルチャーのスターはそこから生まれますか? 米原 海外だと、YOUTUBEやSNSを使う素人からスターが出てくるのは今や当たり前の流れだし、日本でも、ざわちんみたいに雑誌だったら「何だお前」って相手にもされなかっただろう素人の女子たちが、もっと注目されるといいよね。ただ、僕がおかしいなと思うのは、その部分でさえも広告代理店的な動きに牛耳られている点。広告として使えそうな女子はすぐ使うんだけど、ちゃんとSNSで意見する人はなぜかあまり使わないよね? 元来ギャルって、「こんなオトナたちは嫌だ!」と反抗する存在だったはずなんだ。なのに今は、SNSの上でも「そんな発言をしたら、広告がつかないよ」と言われて、「はい」と言いなりになっている。僕はそんなのギャルじゃないと思うんだ。だからこそ、GYDAの串戸ユリアちゃんが以前、広告の関係で自由に発言できない状況になったとき「ああ! めんどくさい!」とTwitterで大人をディスっていたときは、「おっ!」と感心したね。 ――オヤジへの反発から生まれたギャル文化ですら、その価値観に飲み込まれてしまい、女子はもうなにをやっても文化が作れないかもしれません。今後の女子カルチャーはどうなっていくのでしょう? 米原 「オジさん、バカにしようぜ」的なギャルのスタンスとは違う、「オジさんを拒否する」スタイルの女の子が、今後、多くを生み出すんじゃないかな。例えば、後藤まりことか、大森靖子とか、ちょっとメンヘラっぽい子たち。いまの若い子たちは、「こんな性格になりたいなら、こんな格好をしましょう」と、外見的な要素を全部オトナたちに先回りされて消費へと導かれ、詰められている状態だと思うんだ。だとしたら「そうじゃない」と言うには、もう鬱々と自分の中に籠っていくしかないんじゃないかな。オッサンたちは、病んでいれば近づいてこないから。そして、そこから新しいアーティストやカルチャーが生まれることは、悪い流れじゃないと僕は思うんだよ。すんごいカウンターカルチャーだったりするわけで。 ――以前、AKB48はオッサン文化の象徴だと話していましたが、一方ででんぱ組.incのような籠もっていた系の存在も支持を集める情勢になっているのもその傾向かもしれません。 米原 最近はちょっと心配だね、あんなにも多くのメディアに露出して大丈夫かな? と。でんぱ組.incはAKB48を含めたリア充カルチャーのカウンターだったりするのに、そのリア充の中に仲間入りしてしまったら、支持していた層はどうしたらいいかわからなくなるよ。そして、いずれ彼女たち “病み系”にすら、文化系のオジさんたちが食いついてくるかもしれない……。僕は思うわけ。“スタイルとしてオッサンたちを拒否する”ということを、頭のいい人たちがもっと意識的にやるようになれば、さらに面白いことになるんじゃないかな。最初の頃のギャルはそれを感覚でやっていたんだよね、言葉にはできなかったけど。でも、今のメンヘラ系の流れは、言葉に依る部分が強い。だから作品に昇華しやすい。自分の殻の中で熟成させた鋭利な言葉たちを、今後は、意見や自己主張としてブログやTwitterにのせて発信する状況を、彼女たちが創っていくような気がしているんだ。 (取材・文=城リユア) 前のページ12 最終更新:2014/09/04 21:00 Amazon 『CUTiE (キューティ) 2014年 09月号 [雑誌]』 消費しようとする文化系オジサンを見抜く目を! 関連記事 「東京は希望」「東京には何もない」山内マリコ×中條寿子の女子と地方女子カルチャーの新局面? ギャル系・カワイイ系でもない1990Xとは「いい悪いではなく、彼女たちの感性は正しい」女子文化を見つめる斉藤まこと氏オリーブ世代と90年代生まれが受容する、「Olive」の女子カルチャーの“あり方”「ガーリーカルチャー」の本当の魅力とは? 林央子が語る過去と現在 次の記事 渋谷すばる、アイドルと同棲撮られた! >