[女性誌速攻レビュー]「ar」7月号

ダイエット企画に「○kg痩せ」は必要ない! 統一された世界観で女子を救う「ar」

2014/07/07 21:00

「まず、女の子の魅力的な『部分』を考えてみよう。おっぱい、くびれ、二の腕、ふくらはぎ、お尻、くちびる。そう。全部カーブだ。対して男は、背中、二の腕のすじ、指、鼻すじ、そして×××(ここは伏字にさせていただきます)。そう、全部直線。つまり、女の子は『自然』で、男は『不自然』なんですね。(中略)だから僕たち不自然な男は、自然で完ぺきな女の子たちが、無理やりダイエットなんかをしてその美しい『曲線』を放棄しようとするのがまるっきりわからない。男が恋し、グッとくるのは、不自然な自分にはない自然の美しさなのに」

 ゾワゾワくるものの、過度なダイエットに対する警鐘を鳴らしているという点では、「意外とイイこと言ってるじゃん」と思いました。で、次のページでは、「痩せる」ためではなく「曲線美」を作るためのエクササイズの紹介、その次のページでは心が丸くなるための映画や本を紹介しています。読者の体型も体質もバラバラなのに、「夏までに○kg痩せよう!」などとむやみに煽る女性誌よりは好感が持てます。ただし、問題は冒頭でゾワッとする男に語らせていることと、モデルの比留川游です。

 まず、小林氏は女がダイエットする理由が男に愛されるためであることを前提として語っているようですが、もちろんそれも理由の1つとしてあるかもしれませんが、全てではありません。自分の好きなファッションを楽しみたい、あこがれのモデルのようになりたいといった主体的な意志であることも多いんです。だから、「男が恋するのは曲線だ」と言われても、「だからナニ?」としか言いようがありません。そして、比留川游。確かにガリガリ系ではなく、柔らかそうな手足をしているのですが、やっぱり一般人と比べると細い。細い上に圧倒的に長い。一般人は、短い手足を少しでも長く見せるために細くなろうと努力しているのに、こんなグラビアを見せられてもまったく参考になりません! 結局、「ダイエットなんてしなくていいよ。ただし、モデル体形に限る」という意味のない道理を掲げているような印象を企画全体から受けました。

 ……なんて細かいことを書いてしまいましたが、「ar」の“曲線推し”は徹底しています。「南半球系SEXYはいかが」という、ラテンアメリカなテイストを取り入れたファッションページでも、

「一番大切なのは、自分の中にあるオンナの要素を楽しむこと。女性ならではのカーヴィーなラインはまさにその象徴ってことで、ピタッとシルエットやボンキュなコーデでぐいぐい強調しちゃいます。多少のむちむち感はご愛嬌。突っ込まれたら『エヘ』って笑ってごまかしちゃえ(笑)」


とありました。そうはいっても、その誌面に登場しているモデルはやっぱりスレンダー。理想(女性らしい曲線)と、現実(筆者の場合、ただ太くて短い)と、誌面(スレンダー)、絶対に交わることがないこの三者の乖離、どうにかなりませんかね。

■鼻水を拭う姿がセクシー!?

 「オレとアノ子のセクシーメモリーズ」は、男がドキドキ、キュンキュンしたという思い出の仕草&言葉を集めた企画。女性誌にはこういった「男子のホンネを聞いちゃいました」という企画はよくありますね。たいていの場合「ハァ、どのツラ下げて言ってんだ」とムカムカするだけ。本当にアンケートを取っているのか、周りの数人に聞いてみただけなのか、はたまたライターの創作なのかわかりませんが、女性誌言うところの“男のホンネ”なんて、読んでも得することはなにひとつありません。……とわかっているのに、なぜか見てしまう、それがこの手の企画です。下記抜粋します。

ar (アール) 2014年 07月号 [雑誌]