『ジャニーさんに愛される息子に育てる法~アイドルの掟1』著者インタビュー

「ジャニーズは一代限り」ジャニー喜多川の描き続ける“夢”、その座を引き継ぐ者とは

2014/04/12 16:00

――グループの作り方も、「人気がある子・美少年を集める」というものとは違うと感じます。

小菅 そもそもグループ作りの視点が違っていますからね。私がジャニーさんと知り合った当初、ジャニーズから出たグループがみんなヒットするので、ほかの芸能事務所も一時、美少年を集めたグループをいくつも作ったんですよ。でも、次から次へと失敗した。それは単に「人気がある子」「美少年」を集めただけだったからです。

 ジャニーさんがブレないのは、戦略ではなく、あくまで個人的センス、生き様で、自分の夢をかなえてくれる仲間を選んでいるから。時々、「スペオキ(スペシャルお気に入り)」なんて言われる子がいますが、ジャニーさんの少年を見る目は一貫して等間隔なんですよ。彼は、自分が好きな子しかジャニーズに入れませんから、入れた子は全員好きで、全員平等なんです。ただ、やはりグループにはメインが必要で、彼はパズルを埋めていくみたいに、メインにない部分を埋めていってグループを作っているのだと思います。そして、全員が「対自分」の存在であり、どのグループでもリーダーはジャニーさんです。

 彼は1950年代後半から、従来の日本のショービジネスをぶち壊していったけど、あの時代だったから成功したんです。マーケティングの手法でAKB48を作った秋元康とは真逆の手法ですね。秋元は今の時代のプロモートで、ジャニーさんとは真逆の手法を取ったから、成功したんですよ。

■堂本光一の『SHOCK』が持つ意味


――ジャニーさんが思い描く理想のアイドルは誰でしょうか。

小菅 最高のアイドルは、郷ひろみ。彼は、映画製作会社の写真オーディションに送ったワンショットを、ジャニーさんが偶然見かけ、オーディションなしで採用したまれなケースです。手足が日本人離れしていて長く、圧倒的な美少年で、哀愁的感覚がありました。でも、郷はジャニーさんの懐から飛び立っていったので、ジャニーさんの“理想の”ジャニーズアイドルではないですね。その点、ジャニーさんの目の届く世界に身を置き、ジャニーイズムを精神的に引き継ぐのは、堂本光一と滝沢秀明の2人です。特に堂本光一は、2005年以降、「YOUの思うことをやってみろ」と言われ、ミュージカル『SHOCK』の構成を委ねられていますが、これは全てを自分で把握し、コントロールしてきたジャニーさんにとっては異例のことなんです。

 そして、光一と滝沢と違う部分でジャニーさんの精神を引き継いでいるのは、東山紀之。非常にストイックで、後輩たちに慕われ、人徳がありますね。また、近藤真彦はやんちゃ坊主の魅力があり、木村拓哉は同じやんちゃでも、ジャニーさんの想定外だったと思います。もともとSMAPは6人で、森且行が真ん中で次に中居正広がいて、木村は3~4番手だったんですが、内面に持っていた才能がテレビドラマ主演で輝きだした。努力の賜物でしょう。

『ジャニーさんに愛される息子に育てる法』