『ジャニーさんに愛される息子に育てる法~アイドルの掟1』著者インタビュー

「ジャニーズは一代限り」ジャニー喜多川の描き続ける“夢”、その座を引き継ぐ者とは

2014/04/12 16:00
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『ジャニーズ魔法の泉~アイドルの掟2』(竹書房)

 『ジャニーさんに愛される息子に育てる法~アイドルの掟1』『ジャニーズ魔法の泉~アイドルの掟2』(ともに竹書房)と、昨年末に立て続けにジャニーズ本を上梓した小菅宏氏。ジャニーズウオッチャー歴45年で、「週刊セブンティーン」(集英社)創刊に編集者として携わり、ジャニー喜多川氏と長年交流を持ってきた人物でもある。1976年に出版した『ジャニーズ・ファミリー―裸になった少年たち』(和泉ヒロシ名義、オリオン出版)ではジャニー氏の内面を深く洞察し、メリー喜多川氏に「よく書いてくれた」と評されたほど、両氏の信頼も厚い。ジャニーズ事務所外部の人間では、おそらくジャニー氏に最も詳しい小菅氏に、「ジャニー氏にとってのアイドルとは」「ジャニー氏の目指す理想郷とは」そして「事務所の後継者」までを語ってもらった。

――ジャニーさんにとって、「ジャニーズアイドル」とはどんな存在なのでしょうか?

小菅宏氏(以下、小菅) ジャニーさんにとって、彼らは商品・商売じゃない。商売には戦略があるけど、ジャニーさんの場合は彼自身の「生き様」だから、ブレないんです。彼がやっていることは徹頭徹尾、自分と同じ列車に乗って、自分の夢をかなえる「仲間」を探すこと。そして、原作・構成・演出を全て自分で手掛ける「和製ミュージカル」を作ることで、それを最初に現実にしたのがフォーリーブスの主演した舞台『少年たち』でした。

――テレビで活躍するジャニーズが多い一方で、ジャニーさんはテレビに興味がないとも聞きます。

小菅 ジャニーさんが求めるのは、テレビで歌・芝居・司会やキャスターをすることではなく、本質は舞台ですからね。ジャニーさんはよく、「観客の一歩でも近くに行って演じるのが、ぼくたちのミュージカル」と言うんです。遠くから華やかな装置で見せるんじゃなく、一歩でも半歩でも近寄って満足してもらうことで、お客さんの記憶に残る。ジャニーさんが舞台をどう見ているのかに興味があって、後を追ったことがあるのですが、ジャニーさんは舞台が始まって5分くらいは舞台袖にいて、あとは観客席の裏からお客さんを見ているんです。お客さんがどこで盛り上がるか、なんてことはもうわかっていますから、ジャニーさんが見ているのは、彼女たちが「次に何を知りたいのか」「見たいのか」ということ。そして、次に開く舞台のことを考えているんだと思います。


■ジャニーズの華は10代ではなく40代

――ジャニーさんが常に10代の少年を手掛けるのは、なぜなのでしょうか。

小菅 原点には、朝鮮戦争の体験があると思います。彼は朝鮮戦争に行き、そこで飢えた孤児たちを見て、彼らをなんとか助けようと考え、米軍用のクリーニング業を始めさせたんです。ジャニーさんはよく「少年愛」と語られるけど、その原点には朝鮮戦争で「飢えた子どもたちを助けたい」という過去の思いがあったんだと思います。

 そもそもジャニーさんは「アイドル」って言葉が大嫌いで、スターとかアーティストと言うんですよ。彼は以前、こんな話をしてくれました。「高校生の頃、アルバイトをしていたアメリカの劇場で、ステージ上で輝いている10代の若者たちが、楽屋に戻ったらみんなゲエゲエ吐いてた。よく見たら40~50代のおじさんで、それが舞台で歌って踊ると、すごく映えて。あの姿こそアーティストだ」って。日本では若くないとアイドルじゃないという風潮があるけど、欧米では、若さは「青臭い」という意味でとらえられているんですよね。ジャニーさんが手掛けるのは常に10代からの原石ですが、彼らが本格的に活躍するのは、SMAPもV6もTOKIOを見ても、みんな30~40代です。かつてジャニーさんは「40代でホンモノになるよ」って言っていたけど、それが本当になった。ジャニーさんは10代を育成するけど、見ているのはもっと先の姿なんです。

『ジャニーさんに愛される息子に育てる法』