[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

ブス本界に燦然と輝く、ドリフ「もしもコント」風味の“なったつもり”ダイエットの底力

2014/03/23 21:00

 柴犬のしつけで振り回されなければ、私はこの本を読んでいなかっただろう。とはいえ「なぜ、柴犬のしつけとスリム美人の真似ダイエットが、つながる?」と読者の方には思われそうだが、イヤ、実はこれがつながるのである。血気盛んな1歳のオスの柴犬は、なかなか手強い。こちらがよほどしっかり強気でいなければ、ナメてかかってくる所がある。だから散歩の時など、リードをグイグイと引っ張るので非常に大変な思いをしていた。それで、ドッグトレーナーさんの元に1カ月間修行に出したりもしたのだが、しかし。リードのガン引きは治まらない。というか、トレーナーさんがリードを持つと、「アンタそんなにかしこかったの!?」と仰天するほどに上手に歩くのだが、私や夫に変わると、とたんに「駄犬」……これは完全にこちらがナメられてる証拠である。

 「一体どうすれば犬を変えることができるんだろう!!??」と、私は激しく頭を悩ませた。そして。散々悩んで悶々とした挙げ句にたどり着いた答えが「ドッグトレーナーになったつもり!! で犬に接する」だったのである。さっそく私は、いつもお世話になってるトレーナーさんだけでなく、公園で犬に完璧な脚側歩行をさせている飼い主さんをも、つぶさに観察し始めた。それで色々わかったことがある。彼らは皆、とても姿勢がよくキビキビと歩く。無駄な動きがほとんど無い。ギャアギャア慌てずとても落ち着いている。そして、犬に主導権を握らせていない。つまりは、犬に対して非常にドミナント。要するに完璧にドSなのだ。

 散歩中に無駄にマーキングもさせないし、左右ブンブン好き勝手な方向にも歩かせない。完全に「群れのリーダー」と化し、犬を従え、リスペクトさせているのである。「いるだけでどうしようもなくリスペクトしたくなる飼い主になる」……まるで神崎さんの本のタイトルみたいだが、私が目指すべきなのはココ……!!! こうして私の「ドッグトレーナーになったつもり生活」が始まった。そして。驚くべきことに、本当に変わったのである、犬が。毅然としたドミナントな態度で接していたら、散歩中にリードをガンガン引っ張らなくなってきたのである。おまけに、ほかの犬に会っても、あまり興奮せずに、だいぶ落ち着いていられるようになってきた。「相手を変えるにはまず自分から」の、いい見本のような出来事である。

「……『なったつもり』って、すごい!! すごすぎる!! これって、ほかのことにも応用できるんじゃないの!?」

 私は本気で感動した。「ほかのことでも『なったつもり』……なったつもり……なったつもり……あ!!!」


 私の頭の中で激しく何かがひらめいた。ひらめいた先に見えたもの、それは……わたなべぽんさんの、スリム美人になったつもりで30キロ痩せた、あのダイエット本だったのである……。

『もっと! スリム美人の生活習慣を真似したら リバウンドしないでさらに5キロ痩せました (メディアファクトリーのコミックエッセイ)』