「リベンジしなきゃ!」と読者を煽る、「STORY」のスポ根魂が茶番でしかない理由
■「40代の壁」を作っている張本人は……
「40代、『私たちは、まだまだこんなものじゃない』宣言!!」、続く4位は「趣味を広げる!」、5位は「人の役に立ちたい!~ボランティア」でした。「私たちは、まだまだこんなものじゃない」と言うから「どんなもんじゃい!」と期待しましたが、「40代、『私たちは、こんなもんか』」という感想しか出てきませんでした。これを誌面で発表したところでいったい何を伝えたかったのでしょうか。これが「40代のリアル」なのか、あるいは「40代が憧れる40代像」なのか、「40代に元気や勇気を与える」ものなのか……うーむ、どれにも当てはまらない!
「ファッション編」は、「私たち40代は、オシャレだって『まだまだこんなものじゃない!!』」と題し、「まだ“自分を試したい”40代の『再デビューに自信が持てるパワー服』」「まだ“女”を忘れたくない40代、『ダイエット』でファッションが広がった!」「まだ“流行”に敏感でいたい40代が発見した、『小さなトレンド投入術』」「まだ“好奇心旺盛”でいたい40代が足で稼いだ、使える『新・国産ブランド』」と各見出しにいちいち「40代、40代」としつこいのなんの。そんなに「私たち40代、がんばんなきゃ!」と鼻息荒い40代なんて見たことがありませんよ。もしいたら、みんな逃げて。
「STORY」における、背番号40番ばかりの「オバサンチーム・40代」は、いつも何かに対して「リベンジしなきゃ!」「まだまだこんなものじゃない!」「負けないわよ!」「やるっきゃない!」とアツくなっています。STORY監督はそんなチーム40代をいつも叱咤激励します。「チーム40代! そんなんじゃ新しい自分は見つからねーぞ」「監督、自分たちまだまだこんなもんじゃないっス!」……なんだかそういう茶番を見せられた気になりました。こうして女性誌が「40代、40代」と煽り、「40代はこうあるべき」と壁を勝手に作り出しては、40代が壁を壊そうともがいている架空の“STORY”を誌面で見せているんです。はっきり言って、40代女性の敵は40代向け女性誌だ!
■これを読んだらRIKACOファンになるはず
チーム40代の勝手な空回りはほっといて、RIKACOの連載ページ「誰でも持ってる定番の、新しい輝かせ方」をご紹介したいと思います。RIKACOはテレビではウザいキャラとして知られ、嫌っている方も多いかもしれませんが、筆者は「STORY」の中でこの連載を一番楽しみにしています。毎月、難易度の高いコーディネートばかり紹介するので実用的ではないのですが、「40代はこうすべき」「40代だからこうしたら」という言葉は出てきません。今月はレースのタイトスカートにGジャンを合わせ、「定番のタイトは黒無地のスカートが着回しやすいような気がしますが、実は黒レースのほうが私は着こなしの幅が広い気がします」と語っています。「40代だから」ではなく「私はこう思う」という基準で選んでいる点がとても好感が持てるのです。
RIKACOは、2013年9月号の大特集「オシャレな人には『頑固で素敵な』ルールがある!」で、このように語っていました。
「デニムシャツは永遠の定番アイテム。好きなものは10代のころからずっと変わりません。(中略)ファッションは私にとって生き方そのもの。自分をどう見せたいかを表現するものなんです。成長していくのと同じように、ファッションセンスも磨いていきたいですよね」
「好きなものは10代のころからずっと変わりません」という語る潔さが印象的であるとともに、数十年間本当にファッションを愛し続けたんだなあということがよくわかるコメントです。加齢を「成長」と捉えている点も見習いたい。10代、20代、30代があって40代がある。「4×」というナンバーは40代なら誰の背中にも付いているものだけど、数十年という積み重ねはそれぞれその人だけにしかないもの。大切にしたいですよね。テレビとは違うRIKACO姐さんの生き生きとした姿を、多くの方に見ていただきたいです。
(亀井百合子)