[女性誌速攻レビュー]「STORY」2月号

「リベンジしなきゃ!」と読者を煽る、「STORY」のスポ根魂が茶番でしかない理由

2014/01/04 16:00
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「STORY」2014年2月号/光文社

 「年齢なんて、ただのナンバーに過ぎない」とは平子理沙パイセンの名言ですが、その理論に従うと、何かにつけて「40代、40代」と息巻いている「STORY」(光文社)は、国民総背番号制を一足先に利用している雑誌といえます。2月号の大特集のタイトルは「40代、『私たちは、まだまだこんなものじゃない』宣言!!」。すなわちこれは背番号40番が、「おい、40番、そんなんじゃ甲子園は行けねーぞ!」と叱られ、「監督、自分たちは、まだまだこんなもんじゃないっス!」と、汗と涙を拭き拭き立ち上がろうとしている特集ということではないかと思われます。早速見てみましょう。

<トピック>
◎40代、「私たちは、まだまだこんなものじゃない」宣言!!
◎RIKACO’S「誰でも持ってる定番の、新しい輝かせ方」
◎大人の女とは「シャツとデニム」に自信が持ててる人のこと

■女子はいつまでも「女子」であることの証明

 大特集「40代、『私たちは、まだまだこんなものじゃない』宣言!!」は、まず「人生編」からスタート。読者100人を対象にした「“新しい自分”になるために、あなたは何を始めますか?」というアンケートの結果を公開しています。1位は「キレイになってやる!」。「なってやる!」とは誰に対するリベンジ宣言なのか、「40代はもうババア」という偏見を持つ世間に対してか、夜の営みがご無沙汰な旦那に対してか謎ですが、それで「新しい自分」になれるなら、ま、ご自由にとしか言いようがありません。そもそも「新しい自分」とはなんだという疑問が沸いてくるのですが、そう深く考えない方がよさそうです。

 2位は「とにかく学びたい!」。学びたいことの筆頭として挙げられているのは「語学」。「友人の住んでいるパリを一人で訪ねることに。なんとか簡単な会話ができるようにフランス語を勉強したい」「息子が海外留学中で、ホームステイ先のご家族と話をするのに四苦八苦。きちんと英語を学び直したい」と読者のコメントが書かれているのですが、それくらいならガイドブックの巻末に付いているワンポイント会話で間に合いそうです。「語学」以外では、「習字」「ネイル」「野菜ソムリエ」「アロマテラピー」と続きます。「STORY」読者ってどんだけ有閑マダムなんだ……筆者40歳と「STORY」読者40代のギャップに驚くばかりです。背番号は同じでも当たり前ですが生活状況はまったく違いますね。


 3位は「仕事を始める!」。「これからやりたい仕事」のトップは「アロマコーディネーター」、あとは「ショップ経営(洋服のセレクトショップ、子供服、雑貨など)」「カフェ経営」「商品開発」「介護関係」となっています。参考として小学生女子のなりたい職業を記しておきます。トップは「食べ物屋さん」(14.9%)、次に「看護師さん」(9.2%)「保育園・幼稚園の先生」「お医者さん」(5.8%)「お花屋さん」「学校の先生(習い事の先生)」(いずれも3.9%)となっています(2012年、第一生命保険調べ)。小学生女子と40代女子、大差ありません。いや、むしろ40代女子の方が、乙女のようなゆるふわな感性を持っているように見えます。これで、女子はいくつになっても「女子」と呼んでいいことが証明されました。

『STORY (ストーリィ)2014年 02月号 [雑誌]』