[女性誌速攻レビュー]「美ST」1月号

年末の「美ST」は悪ノリ全開! 神田うの、西川史子に“開運法”を説かせる!

2013/12/16 21:00

■公式子宮キャラ「ホルモンヌちゃん」も妊活していよいよ臨月

 真面目なページをご紹介します。「私の『すべりこみ妊活』、すべてお話しします」です。不妊治療をして40代で出産した5人の成功談を中心に構成されています。約600万円かけてアメリカで治療し48歳で出産した方、9年治療し50歳で出産した方など、身体的、精神的、金銭的な負担を抱えての妊娠、出産だったことが生々しく語られています。この企画のいい点は、成功者だけが登場し「大変だったね、成功してよかったね」と投げっぱなしにしていないところです。治療したけれども結果として産まない選択をした方2人のインタビューも掲載されているのです。

 「美ST」モデルとしておなじみ、美魔女グランプリの山田佳子さん(47歳)は、治療したものの結果が出ず、夫婦で話し合って産まない選択をしました。「結果論ではありますが、夫婦二人の生活を選んだことで起業できましたし、美魔女コンテストに出て、グランプリを取らせていただいたことにも繋がったと思います。後悔はありませんね」と語ります。もう1人は一般の方。3回の体外受精をしましたが、「家族とは『血縁』ではなく、愛情を注いで子供を育てながら自分たちも成長することだ」と考え、フィリピンの子どもの里親になる選択をしました。

 不妊治療成功者のほとんどの方は顔写真なし、仮名で登場しています。さまざまな理由があると思いますが、「不妊治療中である」「不妊治療をして子を授かった」と大っぴらには言いにくい状況があることが一因と考えられます。実際、「治療中は周りに気軽に相談できないのがつらかったですね。(中略)不妊治療人口は自分たちが思っているより多い。もっとオープンに話し合える社会になることを切に望みます」と語っている体験者がいました。

 そんな中、産まない選択をした2人は、幸せいっぱいの表情の写真とともに実名で登場していることに心打たれました。心打たれたのは、「『治療の末に産まない選択をした』と公言することは『治療して成功した』と明かすよりももっと困難であるはずだ。なのに堂々とインタビューに応えていて素晴らしい」と思ったからです。しかし、そう思うこと自体、偏見に満ちた勝手な話ですよね。夫婦で納得の上で選択した道に対して、他人が「困難であるはず」だの「素晴らしい」だの評価できる話ではないのに。2人とも選択した結果が「幸せ」だと語っているのに。筆者のような部外者の勝手な思い込みが、40代の妊活を閉鎖的なものにしている元凶の1つなのだと気付き、恥ずかしく思いました。


 “オバさんが美容に励んでも意味がない”というところからスタートし、“若作りしてるオバさんはイタい”“美魔女は美容以外をおろそかにしている”など、美しい中年女性に対する世間のさまざまな偏見に対して、「美ST」はずっと闘ってきました。闘ってきたといっても真正面から反論するのではなく、おふざけ企画でもって明るく陽気に、軽やかに中年女性の自由を勝ち取ってきました。「妊活」についても、世の決めつけに流されず、自分の幸せを選び取った女性を応援するような企画に期待したいと思います。
(亀井百合子)

最終更新:2013/12/16 21:00
『美ST(ビスト) 2014年 01月号 [雑誌]』
「鼻の穴をほじる美魔女」ってアクセルふかしすぎ!