[女性誌速攻レビュー]「美ST」11月号

40代女=一発屋芸人? 「美ST」が打ち出した「年相応」という愚かな美意識

2013/10/14 16:00
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「美ST」2013年11月号/光文社

 「とにかく若く見られたい、どんな手段を使ってもマイナス10~20歳をめざす」と若さ至上主義だったり、「内面から美しさがにじみ出るようでなければダメ」と説教に走ったり、「イタく見えないように、でも若く見られるように」と無理難題を押し付けたり、いろいろと道を模索している「美ST」(光文社)ですが、今月号で提案しているのは、なんと、なんと、なんと「年相応」。ハイ、伸ばしたり叩いたり漬けたりいろいろな過程を経て、ようやっと辿りついた答えが「年相応」なんです。えーと、それはつまりフツーってことですか。もうなんだかワケがわかりません。

<トピック>
◎40代、全力美人は「肌より髪質」!
◎いちばん素敵です “年相応にキレイ”な40代
◎意外と知らない「わきまえメーク」の新常識

■小島慶子と平野啓一郎が美を語っても……

 ということで、特集2「いちばん素敵です “年相応にキレイ”な40代」を見ていきましょう。まずは、現在シンガポール在住で日米ハーフのリサ・ステッグマイヤーが「アメリカ女性にとって……」とアメリカ人の美意識を語り、“フランス在住の金持ち”ということだけが売りの中村江里子が「大人の魅力を尊重する国」とフランス文化論を語るところから始まります。冒頭の段階ですでに「ウチら別にインターナショナルじゃねーし、リサ・ステッグマイヤー懐かしいけどシンガポール在住でなんでアメリカ女性を語ってるのかよくわかんないし!」という反感と不安感が漂ってきましたが、がんばって読み進めます。

 次のページでは、42歳の年相応メイクを施した美魔女と、-10歳をイメージした若作りメイクの美魔女を比較し、夫・子ども世代から意見を求めています。-10歳メイクは、「時代遅れ」(20歳男性)、「彼女でも嫌」(17歳、男性)、「馬鹿そうでイヤ」(5歳女子)とさんざんな言われよう。最近の5歳女子は小生意気で困りますね。ここまで罵倒されてしまうメイクってどんなの……と思ったら、アイラインがっつり、つけま盛り盛りのギャルメイク。いくらなんでも40代にギャルメイクは“若作り”の範疇を超えて近寄るのが危険な感じですし、そもそもギャルメイクは万人ウケを狙ったものではないですよね……。この結果は誘導的と思えなくもないのですが、とりあえず「若作り」ではない「年相応にキレイ」のメイク法などを解説。そして、〆に小島慶子と平野啓一郎が、女目線と男目線でそれぞれ「40代の美しさ」をテーマに語っています。これがまたページをビッシリ埋めるほど長文な割にまるで響いてこない。


「そろそろ自分を見てもらいたい観客層を変えてみるのもいいかもしれません。いつまでも若者向けの劇場に交ざり、『まだ20歳の頃の洋服が着られます!』とアピールしても、その場の客は誰も関心がなく一人芝居(笑)」(小島)
「年相応美人には欠かせないハッピーオーラを出すためのてっとり早い方法は、ハッピーな人のそばにいくこと」(小島)
「いくら40代が若作りをして30代や20代を目指してもしょせん偽物。勝てるわけがありません。だったら40代の本物として勝負したほうがいい」(平野)
「話がウィットに富み、相手を笑わせることができて、『さすがにすっぴんでは無理だけど』『ある程度は努力していますよ』ぐらいの美意識を持ちながら、今の自分を楽しみ堂々と生きている人は魅力的」(平野)

『美ST (ビスト) 2013年 11月号 』