【連載】芸能人夫婦百景

川島なお美の夫への異常な嫉妬と過干渉に見る、「少女病」という悩ましい病

2013/11/23 16:00

 結婚はカップルに安定という名の惰性をもたらす。が、川島のように「努力した後には成功がなくてはならぬ、右肩あがりに幸せにならなくては」という「少女病」に罹患している場合、女性は結婚後ますます努力を始めるようになる。夫が家出をした翌日、川島は「栄養のバランスが悪いから」と手作り弁当を持って、夫の職場に出向くそうである。一見、良妻風の行動だが、「仕事に口を出してほしくないタイプの男性が妻に職場に顔を出されるのはうれしくないはず」という想像力を川島は持たない。なぜなら川島にとって、「手作り弁当=良妻」であり、「朝早く起きて、弁当を作った努力を認めろ」としか考えられないのだ。夫に褒められたい川島は、「鳴かぬなら鳴かしてみようホトトギス」と例えられる豊臣秀吉のように、努力という名の干渉を続けるのである。

 「結婚したからこそ、独身時より幸せになりたい」とプラスを求め続ける妻と、「面倒くさい」と尻込みする夫。それなら、結婚の意義は何なのかと独身女性は落胆するだろう。結婚は、特に熟年カップルにとってはセーフティーネットであり、男性にとっては、事故や病気などのマイナスを埋めるためにするものという面が強い。男性有名人が女優と離婚した後、身の回りの世話を焼いてくれる若い一般人と結婚するのが、よい例である。川島の夫は闘病を経験しているが、病気の時に誰かが傍にいてくれるという結婚の意義を、この時に見つけたことだろう。

 それでは、川島のように「少女病」に罹患している女性を、なだめるにはどうしたらいいのか。その答えを、川島自身が著書『おとなタヒチ』(太田出版)にて教えてくれた。バウ・リニューアルだ。これは愛を再び確かめ合うために行う、2度目の結婚式のことである。イタリア製のドレスを着て、神父の前で愛を誓い、タヒチ島民 に祝福される。結婚式という幸福のピークの再現に川島は感動の涙を流した。「もう一度やりたい!」と書いているので、夫は川島の過干渉のガス抜きとして、定期的にバウ・リニューアルに付き合えばよい。

 結婚してより幸せになりたいと願うのは、女性として当然なことであり、「少女病」は決して悪いものではない。しかし、この病気は致命的な短所がある。それは患者たちが人の話を聞かないことである。夫は川島との結婚を決めた理由を「掃除好きとお礼状をまめに書いているところ」と述べた。これは社会人としての常識の範囲の行動であり、ワインやフランス語、茶道といった川島の女磨きはまるで意味がないことを示している。が、「少女病」罹患者は聞く耳を持たないので、何かある度に努力すればいいと考えて、見当違いな行動に出てしまうのだ。

 婚活や結婚生活が何だかうまく行かないとお悩みの女性は、自分が「少女病」に陥っていないか確認してみるといいかもしれない。


仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2019/05/17 20:27
『おとなタヒチ』
実は自分に自信がないつながりで林真理子と仲良しなのかも……