【連載】芸能人夫婦百景

川島なお美の夫への異常な嫉妬と過干渉に見る、「少女病」という悩ましい病

2013/11/23 16:00

 川島が手をつけたのは、自分磨きである。ボディラインのキープと、あそこの締まりをよくするために、クラシック・バレエ、フラメンコに没頭。恋愛運アップのために風水をベースにしたお掃除を始め、出会いや誘われる口実を多くするためにゴルフやワインを嗜む。もちろん料理教室だって通う。恋愛対象にする男を増やすためのフランス語、茶道を学ぶなど、それはもう必死である。

 メンタル面での「努力」もすごい。川島は「カレシがいなくても、いるようにふるまっていると恋愛オーラが自然とにじみ出てくる」「本気の相手でなくても、男友達とアムール(筆者注:川島語でセックスのこと)してみる」と失笑を誘うハウツーを披露している。「日本旅館に行ったら、気が利く女だと思われるために、仲居さんに渡す心付けは女性が用意しましょう」「旅館の浴衣姿を魅力的に見せるために半幅帯や伊達締めを持参しましょう」などなど、自意識過剰気味なテクニックは枚挙にいとまがない。

 このようにして自分を磨いた結果、川島は若い女性と同席しても、品位のある年上の女性として扱われることになったそうだ。川島いわく、若い女性とは「青くてチョロいコムスメ」であり、「できるオトコなら、コムスメよりも大人の女性を選ぶ」そうである。川島は過去に「世界にはばたく大企業の五代目」や「20歳年上のアメリカ人エリート弁護士」「将来性のある経済的にも安心なやり手の男性」からプロポーズされたが、現夫に「秘めたポテンシャル」と「育てがい」を感じたそうで、「今、相方は私というグラスの中で、ゆっくり着実に熟成を遂げています」「これこそが、大人の女の玉の輿」とつづるなど、自分の結婚が成功であると認識していることがわかる。

 努力さえすれば、若い女性にも負けることなく、素敵な男性と巡り会って結ばれる。自身を「元祖魔性の女」「大人の女」と連呼する川島だが、彼女の結婚観は「少女漫画」のように思えてならない。

 少女漫画に必須の要素は、「努力」「勝利」「恋愛」ではないだろうか。槇村さとる作の『Real clothes』(集英社)を例に考えてみよう。主人公のデパート勤務のOLは、花形である婦人服売り場に異動となる。ファッションに興味を持てないダサめな主人公に、上司は「人は見かけじゃないという人ほど、中身がない」と辛らつな言葉を吐き、主人公の奮闘が始まる。「努力」して仕事を覚え、ファッションセンスも磨かれるが、恋人にはフラれてしまう。しかし、仕事に打ち込み大成功、元カレより聞こえも中身もより「いい人」と結婚する。仕事を頑張るという1つの「努力」から、外見の美しさも「恋愛」も鈴なりに手に入れて「勝利」する、これこそ少女漫画の王道である。少女漫画の最大の特徴は、ハッピーエンドだ。主人公はストーリの始まり(努力前)と終わり(努力後)では終わり(努力後)の方が絶対的に魅力的で愛され、幸福になるという、「万年右肩上がり」スタイルである。川島はこの説を信じているように思えてならない。


『おとなタヒチ』