サイゾーウーマン美容・健康女性のカラダシャンプー市場を分析(後編) 美容・健康 シャンプー市場を分析(後編) ノンシリコンよりもシリコンがいい場合も! 作られたシャンプー市場の実態とは 2012/03/25 17:00 シャンプー次第では、幼いころのようなキューティクルも? Photo Byswambo from Flickr (前編はこちら) ■イメージ先行型の「高額シャンプー市場」 前編では「ノンシリコン」「スカルプ」「オーガニック」の3カテゴリーの特徴を挙げたが、いずれの商品もこれまで一般的に流通していた商品より、はるかに高額である。いまでもドラッグストアのボリュームゾーンに鎮座する国内メーカーの商品は、店頭価格で500mlで700円前後のものが多い。だが高額シャンプーの値段は天井しらずで、中には5,000円近い値段のものも多く存在する。それではなぜ高額シャンプーが消費者の心をとらえているのか。それは、「ただ汚れを落とすためだけ」のシャンプーから「髪に対する悩みも解消する」シャンプーへと市場が変化してきていることが理由のひとつに挙げられる。 ある時期までの日本人はパーマやカラーを施さない黒髪の人が多く、和食がメインの食生活だったため、全体的に髪や頭皮へのダメージも現代ほどではなかった。シャンプー開発の技術こそまだ未熟だったが、毎日洗髪する習慣もないことから汚れさえ落ちれば十分に健康な髪の人が多かったと言われている。 ところが現代は、10代のうちからカラーやパーマを楽しむ人やヘアスタイル剤を大量に使う人が多く、ストレスや偏った食事による髪ダメージを抱える人が多くなったため、単に汚れが落ちるだけのシャンプーではキレイな髪を保てなくなった。また、技術革新と毎日のシャンプー習慣ができたことで汚れが溜まることが減り、汚れを落とす以上の効果をシャンプーに求められるようになった。 逆説的にいえば、現代でも髪に負担をかけていない人なら市販の低価格シャンプーでも十分で、ゴワゴワな洗い上がりが気にならなければ石けんで洗っても問題ない。「ノンシリコンシャンプー」の登場により、存在自体が否定されがちなシリコンも“しっかり洗い落としさえすれば”悪い成分ではないので、しっとりしたツヤ感を出したい人はシリコンシャンプーを選ぶのもひとつの方法。 ところが、シャンプーの使用目的に関する知識もなく、よっぽどの美容マニアでなければ成分表から商品の良しあしを判断することが難しいとあっては、消費者に優しくない。「ノンシリコン」「スカルプケア」と一点訴求することにより、イメージ先行で作られたブームが爆発的にヒットしていないのは、そのあたりの業界全体の理解が足りないからだといわざるを得ない。 ■シャンプー選びのヒント では実際に髪や頭皮にストレスやダメージを感じる人は、どんな基準でシャンプーを選べばいいのか。悩み別・目的別に選ぶヒントをお伝えしたい。 ・「軽い洗い上がりにしたい!」→ノンシリコンシャンプー なぜ最近「ノンシリコン」が良いといわれているのか。それはシリコンが悪いのではなくて、大量にシリコンが入ったシャンプーを使用していたり、雑なシャンプーを続けることでシリコンをきちんと落としきれず、頭皮の汚れや毛髪の痛みを誘発したりしている人が多いから。シリコンは髪に付着して指通りの良さや髪を汚れから守る膜の役割を果たすため、洗い上がりの髪は重たい仕上がり感になる。その点、ノンシリコンは髪にシリコンが付着しない分、軽いイメージに。 でも、ここでひとつ注意。「ノンシリコン=指通りを良くする成分が入っていない」ということなので、シリコンに変わるリピジュア(R)はじめ、ヒアルロン酸、加水分解ケラチン、加水分解シルク、加水分解コラーゲンなどの成分が十分に入っていないと洗い上がりがギシギシになってしまい、かえって髪を傷めることに。キシんでしまうくらいなら、安価でもシリコンシャンプーを使った方がベター。ところが、安価なシリコンに比べリピジュア(R)などの成分は値段が高く、シリコンに変わる成分が適正に配合されたシャンプーは、値が張ってしまう場合が多いのが現状。 逆に、こういった保湿や補修成分が多く入りすぎたものを毎日使うと、「ビルドアップ」といって逆に髪がゴワゴワになる場合も。これは必要以上に成分が髪に残ってしまう現象。摂りすぎず、バランスのいい配合のシャンプーやトリートメントを、と言いたいところだが、一般的に配合バランスまでは成分表記だけでは分かりにくい。ネット上で商品を探す際に「アミノ酸」「ノンシリコン」「リピジュア」とキーワード検索するのもひとつの手。 ・「抜け毛・薄毛、頭皮の脂、臭いが気になる!」 「ヘアセット剤を多く使う」→スカルプシャンプー シャンプーでは落としきれないしつこい脂汚れも落とせるが、それだけ洗浄力が強いので必要以上に洗うと本来必要な皮脂まで落としてしまうので注意が必要。 ・「植物由来でなければ心配!」 オーガニックシャンプー ひとつ注意は、オーガニック成分をひとつでも使っていたら「オーガニック系」と謳えるので、「オーガニックのみ」にこだわるのなら100%のものを選ぶこと。ノンシリコン、スカルプケア系にもいえることだが、まずはサンプルやお試しセットから始めるのがベター。 ■シャンプー方法で髪を変える! 顔の皮膚と一緒で頭皮も年を取り、頭皮のほうが顔より老化が早いともいわれている。とはいえ、毎日ヘッドスパをするのは到底不可能。そこでオススメしたいのが、毎日のシャンプー方法や時間帯、回数を変えること。 ・シャンプーの時間帯 肌と同じで、頭皮も夜の10時~深夜2時に休ませることが大事。朝シャンして髪を乾燥にさせてしまうより、夜に洗って頭皮をゆっくり休ませた方が健康的。また、必ずドライヤーで乾かして寝ること。濡れたままだと、髪に摩擦などのダメージを与えてしまう。 ・シャンプーの回数 意外と知られていないが、シャンプーの回数は2回が基本。1回目は髪に付着したホコリや汚れを落とすために軽くすすぎ洗い、2回目は頭皮をマッサージするようにう。 このように、シャンプーそのものを変えなくても、生活習慣を変えれば髪や頭皮の健康を保つことができる。やみくもに高価なシャンプーに頼るのではなく、まずは自分の髪や頭皮の状態・トラブルを把握し、ライフスタイルと合わせながらなりたいイメージを見つけることが美しい髪への第一歩だといえる。 (美容プランナー&ライターRicky) 『美髪シャンプーの嘘 』 ブランドとかイメージで決めちゃダメってことです 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・「美」は化粧品会社の専売特許ではない! 他業界が作り出したヒット商品とは ・日焼けでバッサバサに傷んでしまった髪に、キューティクルを再び! ・資生堂「IN&ON」に見る、化粧品と美容医療のバランス 最終更新:2012/03/25 17:00 次の記事 夫婦間の「追っかけ」の苦しさ >