【西友】北海道・九州から撤退でも――買い物してわかった「食品スーパー業界ナンバーワン」の可能性
過日、北海道と九州からの撤退が報じられた「西友」。かつては絶大な影響力を誇る総合スーパーだったものの、2000年代からは存在感が薄れていました。現在の西友の姿をリポートします。
目次
・【西友】これまでと業績
・【西友】買い物してみた
・【西友】「食品スーパーで業界ナンバーワン」の可能性アリ
【西友】これまでと業績
西友は衣食住のアイテムを扱う総合スーパー(GMS)チェーンでしたが、昨今はスーパーマーケット業態の出店が多く、食品主体の店舗が中心。店舗数は322店(2023年11月時点)です。
1980年に、プライベートブランド「無印良品」が誕生し、2000年には日本初のネットスーパー事業を開始。18年からは楽天と協業して「楽天西友ネットスーパー」が始まっています。
「食品新聞」によれば、西友の過去3年間の営業利益は、2021年度162億円、22年度242億円(前年比約49%増)、23年度315億円(同約30%増)と右肩上がり。そんな中、北海道と九州から撤退するのは、西友が「さらなる発展を目指すため」とのこと。
なお、西友は21年、25年に「食品スーパーで業界ナンバーワン」「ネットスーパーで業界ナンバーワン」を目標に掲げた中期経営計画を策定。流通ニュースによれば、24年度は「中期経営計画の最終段階として、高品質でおいしい商品がお買い得な『質販店化』を目指し、さらなる商品力強化を図るという」とのことです。
現在、店名は「西友」のほかに「リヴィン(LIVIN)」「サニー(SUNNY)」があり、それぞれ食品スーパーになっています。
【西友】実際に買い物してみた
今回は西友を訪問。駅前の7階建てのビルで、地下1階・1階が食品、2階が日用品、4階が衣料品という大型店舗。5階から上は学習塾や100円ショップのセリア等が入っていました。
総菜売り場でデパ地下気分に!
まず、1階の総菜売り場をチェックしたところ、商品力にびっくり!
とんかつの肉の厚みがとんかつ専門店レベルだし、イカリングも身の厚みもサイズもデカいし、「スケソウダラのタルタルフライ」が20センチはあるジャンボサイズ(しかも北海道の白老港水揚げのタラ)だし、おいなりさんの色艶もいいし……。
なんなんだ、この店は……総菜がヤバすぎる!!
スーパーの総菜はディスカウントストアの「オーケー」が商品力も価格も一番だと思っていたのに、あっけなく塗り替えられました。
カキフライも一つひとつが大きくてでっぷりとした厚み! 味も濃く、満足度が高かったです。なお、平日午後4時前の時点で値引きされていましたよ。
そして注目ポイントは「食の幸」というマーク!
バイヤーが味にこだわり、品種、銘柄、製造方法などをもとに選ばれた商品につけられているんだそう。総菜のほかに、生鮮食品、米も対象で現在185品もあるとのこと。
ほかには、ロースカツ「熟成うまリッチポークのロースカツ」にもマークがついていて、かなりおいしそうでした!
とんかつ専門店レベルのとんかつ、鮮魚店の総菜みたいなタラのフライやイカの唐揚げなどパワフルな商品の数々は、まるでデパ地下! 眺めているほどにテンションが上がり、全部買って豪遊したい気持ちにかられました。
特売期間になっていたサラダも、蒸し鶏とひじき、枝豆、コーン、れんこんなどが入っていて、おいしかったです。こちらは店内調理品ではありません。
そのほか、「家計応援弁当」と書かれた「アジフライ・ハムカツ弁当」355.32円、「めんたい青混ぜのり弁当」430.92円など、コスパのよいお弁当もおいしそうでしたよ。
PB「みなさまのお墨付き」の魅力
もはや説明不要の人気PB「みなさまのお墨付き」。実際に消費者が味や価格、要領などを評価し、合格点が80%を超えたものだけが商品化されています。
徹底した消費者目線のPB、他社とは発想の段階から違いますよね。「無印良品」を生んだ会社だけあります!
店内のさまざまなところに商品をみかけますが、支持率92.6%などと書かれていると訴求力がケタ違い。
数年前に話題になったカレーシリーズに、「麻辣ドライキーマカレー」を発見。味が気になります。
チルドのサラダや納豆、紙パックの飲料まであり、イオンのPB「トップバリュ」と同じくらい多岐にわたっています。
普段、イオン系列やセブン&アイ系列のスーパーを利用していることもあって、「みなさまのお墨付き」商品がやけに魅力的に見え、あれもこれも手にとってしまいました。
なお、「みなさまのお墨付き」のほかにもトイレットペーパーなど生活用品のPB「きほんのき」もありましたよ。
鮮魚のクオリティが高すぎた
生鮮食品は、特に魚のクオリティに度肝を抜かれました! 写真でお伝えできないのがもったいないのですが、「食の幸」の大分県産ブリの刺し身がとんでもない美しさ!
いまだかつてスーパーでこんなきれいな刺し身に出会ったことがなかったので、しばし見惚れるほど。切り身のぶりもこれまた美しく、これほどのものを知ってしまったら、もう他店で買うのがイヤになってしまいそう……。「食の幸」シリーズの本気ぶりはかなりのものです!
魚のほか、野菜くだものも鮮度がよさそうで、価格もバナナ150.12円、いちご378円とスーパーの相場通りの印象。
そのほか、野菜は契約農家直送のさつまいも(紅はるか)が一袋に8本は入って376.92円という安さで、びっくりしました。
【西友】「食品スーパーで業界ナンバーワン」の可能性アリ
今回、西友での買い物は驚きと興奮の連続でした。
総菜はデパ地下みたいだし、魚も鮮度が専門店クラス! 言うまでもなく、店内は明るく清潔で、棚の商品は見やすく、目的のものも見つけやすかったです。
そして、商品によって楽天ポイントが貯まるのも、楽天ユーザーの筆者的にはかなり魅力! どうして我が家の生活圏内には西友がないんだろう? と恨めしくなってしまうほどです。
これら商品力を目の当たりにして、「食品スーパーで業界ナンバーワン」も可能性あるなと思いました!
ちなみに、「食の幸」マークや「みなさまのお墨付き」のほか、「SEIYU FINE SELECT」というマークも気になったんですが、こちらは西友が選んだ輸入商品を紹介しているもののよう。
こうしたマークがあるだけで「スタッフが良いと思ったものを選んだよ!」という気持ちが伝わってきて、心の距離が縮まりますね。西友は大手にもかかわらず、こうした“背景に誰かの思いが感じられる商品”が多いように感じられました。
今後、西友が「食品スーパーナンバーワン」の目標を達成するのか? とても楽しみです!