今年バラエティ番組を盛り上げた3人の女たち

フワちゃんの遅刻癖がテレビで重宝されるワケ――2023年「わかりやすさ」を武器にした女芸人たち

2024/01/01 19:00
仁科友里(ライター)

エルフ・荒川「ギャルというわかりやすさ」

 「男性(女性)はこういうもの」というふうに主語を大きくすると反感を買う時代なのに、なぜか治外法権的にそれが許されるのがギャルではないだろうか。6月22日放送の『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)に、「最強ギャル軍団」として藤田ニコル、益若つばさ、ゆきぽよらが出演していたが、彼女たちは「ギャルは仲間を大事にする」「ギャルは礼儀正しい」「ギャルは一途で浮気しない」など、ギャルという大きな主語を用い「あるあるトーク」を披露した。

 お笑いコンビ・エルフの荒川は、これらのイメージそのままのギャル路線で売っていると思う。しかし『エルフ・荒川の日めくりまいにち、GAL!なんか知らんけど生きる元気が湧いてくる31のギャル語録』(ヨシモトブックス)によると、「自称あたしは自己肯定感について日本でいちばん考えてるギャル」とある。そんなにも自己肯定感について考え込んでしまうなんて、彼女の自己肯定感は高めとはいえないと思っていたところ、2月28日配信の「ハフポスト」のインタビューで、本人がそのことを認めていた。この記事を読むに、性格もやや暗めなのだろう。

 しかし、一般人からすれば、鋼のメンタルの持ち主より、落ち込みやすく、傷つきやすかったとしても、ギャルとして「なんか知らんけど生きる元気が湧いてくる」言葉を発信する荒川のほうが親近感を得られるような気がする。

 YouTubeチャンネル「鬼越トマホーク喧嘩チャンネル」に出演した際、恋愛をするとメンヘラのようになると打ち明けていた荒川。その経験をテレビで明かすことで、さらに多くの人から共感が得られるのではないだろうか。

フワちゃん:「遅刻というわかりやすさ」

フワちゃんの画像
先輩芸人からマジ説教をされているというフワちゃん(C)サイゾーウーマン

 ブレイク直後から、「週刊女性」(主婦と生活社)で遅刻癖があると指摘されていたフワちゃん。昨今のSNSでは「どちらが正義でどちらが悪か」というふうに白黒つけられる話題が好まれるが、遅刻は「わかりやすく悪いこと」なので、格好のネタを投じたといえる。


 そこにテレビ局も目をつけたのか、今やフワちゃんの遅刻は番組内でもネタとして扱われるようになった。『フワちゃんのオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)で、フワちゃんは生放送に遅刻しないよう、ロケバスを自腹(1回2万3,000円)で発注していたことを告白。どうせなら生放送ではない番組の時も頼めばいいと思うが、急にフワちゃんが無遅刻になったら、持ちネタが減ってしまうので、これくらいでいいのかもしれない。

 コンプライアンス厳しき昨今、テレビ局は問題を起こさないよう、細心の注意を払って番組を制作していると思うが、視聴者にとって番組は娯楽に過ぎないので、それほど真剣にテレビを見ていない。今の時代であれば、スマホをいじりながらテレビを見る人もいて、視聴者の注意力はかなり散漫といえるだろう。

 だからこそ、こうした「わかりやすさ」が求められるのかもしれない。24年はどんな女芸人が重宝される傾向になるのか見当もつかないが、皆さんくれぐれも健康には気をつけて、頑張っていただきたいものだ。



仁科友里(ライター)

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2024/01/01 19:00
フワちゃんを叱ることで有吉にも旨味がある