「元極妻」芳子姐さんのつぶやき167

「あれのあれは、あれまた用意しとうけ」は襲撃指示? 工藤會トップ控訴審の行方を元極妻が解説

2023/09/24 17:00
待田芳子(作家)

「あれのあれは、あれまた用意しとうけ」は襲撃指示なのか?

 ていうか、今回の裁判は「最凶暴力団」というわりには、けっこう昔の事件なんですよね。1なんか20年くらい前に有罪判決が確定してますしね。

 今回改めて起訴したのは、野村総裁の関与を示す「新証拠」(=関係者証言)が出てきたからだそうですが、これもハッキリ犯行を指示した感じではなかったですね。

 ちなみに3の事件は盗聴した電話音声が裁判で再生されたそうですが、「明日予定通り」とか「あれのあれは、あれまた用意しとうけ」「今日の夜は反省会」とか、明確にナース襲撃を指示したものとは言い難く、だから「推認」するしかないんです。「家族に牛丼買って帰る」とかもあって、むしろほのぼのします。

 また初公判では、1の事件で08年に刑が確定して受刑中の組員さんが証人として出廷しています。そして「事件と関係のない総裁らに申し訳ない」と述べた上で、事件は別の工藤會関係者の指示だと明言しました。もちろん検察は「信用できない」としていますが。

 ちなみに1の事件は、工藤會の関係者3人が逮捕起訴されて、1人は無罪でした。「工藤會だからとりあえず起訴」でコケた好例といえます。


 この事件を取材されていた宮崎学さんは、「『ヤクザは悪くない』」とは言っていない。公正な裁判をやってほしいだけだ」とコメントされていましたが、その通りです。「悪い人かどうか」ではなく、事実関係だけでジャッジしてほしいですよね。

ほぼ意味がない「三審制」

 一審と二審は別の裁判のはずですが、そうはいかないんですよね。特にヤクザの場合はそうです。主張を変えたところでハードルは高いのです。

 たとえば15年、六代目山口組傘下の小西一家・落合勇治総長(肩書は当時)の事件です。これは本にもなってますが、抗争事件について、落合総長の子分氏が検事さんから司法取引を持ちかけられ、「事件は落合総長が首謀者」とウソの供述をしたそうです。この供述もあって、一審で落合総長は無期懲役の判決を受けます。

 二審では子分さんが「ウソをついてしまい、落合さんに申し訳ない」と一審の供述を撤回、総長の関与を否定しました。でも、判決は変わらずに18年に無期懲役が確定して現在も服役中です。

 「重要な新証拠」であっても、裁判官も検察官もそうは思ってはくれないのですね。何のための三審制なんですかね。今後もちゃんとウォッチしていきたいと思います。


待田芳子(作家)

待田芳子(作家)

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻。夫とは死別。本名・出身地もろもろ非公開。自他共に認める癒やし系。著書に『極姐2.0 旦那の真珠は痛いだけ』(徳間書店)がある。

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最終更新:2023/09/24 17:00
極姐2.0 ダンナの真珠は痛いだけ 電子書籍版 / 著:待田芳子