仁科友里「女のための有名人深読み週報」

『DayDay.』MCの山里亮太は、「朝のワイドショーに向かない」と思う理由

2023/06/29 21:00
仁科友里(ライター)

山里亮太は、“やられたらやり返す”エピソードが得意だが……

 6月14日放送の『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)の「あの恨みは忘れない!根に持つ芸能人ぶっちゃけSP」に出演した山里サン。その名の通り、芸能人が経験した恨みつらみを打ち明ける企画だが、ここで彼の「らしさ」が出ていたような気がした。

 ブラックマヨネーズ・吉田敬や明石家さんま、アンガールズ・田中卓志は、ヘアメイクの女性や合コンで出会った女性の対応に根に持っていると話していた一方、山里サンのエピソードは対象者が仕事関係者オンリーかつ重い。

 山里サンは、17年前、南海キャンディーズに密着した番組があったと回顧。その際、カメラマンの「だめだ、眼鏡のほうが入ってる」という一言で、番組が求めているのはしずちゃんこと山崎静代であり、自分は必要とされていないと気づき、この密着番組を台無しにしてやろうと画策したそう。具体的には、しずちゃんについて「犯罪歴があるのに隠している」と、今だったら問題になる大ウソをついたというのだ。

 その後、番組スタッフが謝罪してきたものの、「山里さんも映るように努力します」と中途半端なスタンスだったので、険悪さは解消されず。結局、オンエアでは山里サンは1ミリも映っていなかったそうだ。それ以来、山里サンはそのディレクターの動向をチェックしているという。

 仕事関係者への恨みが多いのは、それだけ山里サンが熱心に仕事をしているということであり、「上に行きたい」という野心が強いことの表れだろう。野心は仕事の場だけで発動するとは限らない。


 オードリー・若林正恭が『激レアさんを連れてきた。』(テレビ朝日系)で、山里が飲みに行くたびに「もう女優か女子アナと結婚するしかねぇだろと叫んでいた」と明かしていたが、蒼井との結婚も、野心の賜物なのかもしれない。野心が強ければ強いほど、その反動で恨みも深くなるのだろうが、「やられたらやり返す」エピソードを得意とする人は、深夜番組はよくても、中立性やバランス感覚が求められる朝のワイドショーには向かないのではないか。

山里亮太は「長いものに巻かれる」タイプ?

 また、上に行くためには、権限を持った人や組織に認められる必要がある。実際、山里サンは、所属事務所である吉本興業が闇営業問題で揺れたとき、極楽とんぼ・加藤浩次などの所属芸人が吉本批判をする中、『JUNK 山里亮太の不毛な議論」(TBSラジオ)で「ウチの会社は言った人をメモったりする几帳面さがある」と指摘。安易な気持ちでの会社批判はよしたほうがいいと言っていたのだ。

 これは処世術としては実に賢明で、会社に楯突く人を会社はよく思わないし、プッシュすることもないだろう。しかし、ここまで徹底して「上下にこだわる」「長いものに巻かれる」タイプの人は、MCとして中立なポジションを取っているつもりで、つい強い人、自分にメリットがある人の味方をしてしまうと思うのだ。

 しかし、報道と暴露の垣根があいまいになりつつある今、山里サンの“恨み芸”が、朝のワイドショーにハマる可能性も十分にある。山里サンが“持っている人”なのは確かなだけに、彼がワイドショーに新風を吹き込むのかもしれない。




仁科友里(ライター)

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2023/06/29 21:04
山ちゃんはやっぱり深夜で輝く芸人なのか……