中田敦彦がテレビを面白くすると思うワケ――「誇大妄想的な一面を隠し切れない」彼の魅力
また、中田いわく、YouTubeチャンネルも先見の明があって始めたわけではなく、「絶望のふちでギリやった」ことだそうだ。それが今や登録者数500万人超えの人気チャンネルになっているわけだから、やはり中田は“持っている”と言えるのだろうが、中田が独特の“もろさ”を持っていることにも気づかされる。
同番組司会のオードリー・若林正恭に「たまに劣等感を口にするじゃない?」と指摘されると、中田はそれを認め、「東大に入って当たり前の高校から、ドロップアウトして慶應に入ってる」と、大学受験の“失敗”による劣等感を持っていると告白。若林が「そんな世界があるの?」と驚くと、中田は「あるんですよ。東大以外は大学じゃないって俺、言ってましたから」と説明した。
例えば、東大に合格した人が、その誇らしさから「東大以外は大学じゃない」と言うならわかるが、中田はまだ受かっていないのに、受かった人のような物言いをしてしまっている。これはまさに彼の特徴ではないだろうか。
中田はMCの話が来なかったことで心が折れ、その焦りから会社と揉めてしまったと言っていたが、MCになれなかったのは、中田の実力が及ばなかったとは言い切れない。オファーがあって成立する仕事は、タイミングも重要な要素なので、もうちょっと待っていたら、声がかかっていた可能性は否定できない。
けれど、「まだ手にしていないものを、手にした気分で物を言う」 メンタリティの人の場合、「これだけできるのに」「どうしてオレにMCの話が来ないのか」とキレやすくなり、周囲と修復不可能な揉め事を起こしてしまうのではないだろうか。
一般人がそんなことをしていたら「ちょっと落ち着こうか」と声をかけたいところだが、中田の場合、これが最大の魅力だと思うのだ。
研究熱心で何でも小器用にこなし、その結果、すぐに天狗になるが、自己評価と現実が折り合わず、がっくりきて劣等感を募らす――売れていても謙虚に振る舞う芸能人が多い中、誇大妄想的な部分を隠さない中田がテレビにいたら、面白い気もする。加えて、先に指摘した新しいタイプの人に見せかけて、実は古いタイプの人というギャップも、視聴者に面白く映るのではないか。
人の話を聞くのが好きではないようだから、MCには向かないかもしれないけれど、時々テレビに出てほしいと思うのは、私だけではないはずだ。