仁科友里「女のための有名人深読み週報」

中田敦彦より、藤森慎吾のほうが「生き残る」と思うワケ……オリエンタルラジオの「地味なほう」を考える

2021/04/08 21:00
仁科友里(ライター)
「どうして吉本辞めたの芸人」の藤森慎吾(C)サイゾーウーマン

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の有名人>
「今年一、笑ってます」オリエンタルラジオ・藤森慎吾
「藤森慎吾のYouTubeチャンネル」4月5日

 タレント・松嶋尚美のインタビューが、「オリコンニュース」に掲載されていた。「松嶋尚美、今振り返る『ボキャ天』時代と20年続いたコンビ相方への思いと『運命と感謝』」というタイトル通り、ここまでの来し方を振り返っている。特にお笑い志望でなかった松嶋が、中島知子とコンビを組んで、オセロとなる。お笑いブームの中の“女子枠”に入り込み、人気番組『ボキャブラ天国』(フジテレビ系)に出演できたが、ネタを100個も考えなくてはいけないこともあり、大変だったそうだ。

 その後、オセロは順調に売れていくが、中島の“洗脳騒動”がきっかけで2013年にコンビを解散する。「もしも相方が中島さんじゃなかったら東京にも出てきていないやろうし、仕事もなかったと思う。運命的なものを感じるし、感謝していますよ」と、“相方がいたから、今の自分がある”と振り返った。

 すごく“いい話”なのだろうが、松嶋というと、どうしても思い出してしまう発言がある。たしか『さんまのまんま』(関西テレビ)だったと思うが、中島の洗脳騒動のはるか前に、同番組に出演した松嶋は「オンナのコンビはモテないほうが幸せになる」と言っていた。モテるのがどういう状態を指すのか(多くの人にアプローチされることなのか、それとも恋人が常にいることなのか)、また、幸せとは何かを具体的に発言していなかったので判断は難しいが、有名俳優と熱愛報道もあった中島は、あの騒動の後、テレビで見かけない。一方の松嶋は、今も天然キャラとして、『バイキングMORE』(フジテレビ系)に出演している。


 これまた古い話だが、何かの番組でビートたけしが「おネエちゃんのいる店」に行く理由を、「自分が売れているかどうかがはっきりわかるから」「モテてるうちは、売れてるってこと」と言っていたことがある。つまり、男性は売れたらモテるというように、「仕事ができると、恋人など、そのほかのものも一気に手に入る」システムになっているということだろう。しかし、松嶋は「女のコンビはモテないほうが幸せになる」と言っている。松嶋は、何が幸せかとは明言していないが、この言葉を現在に置き換えると、松嶋は中島よりモテていなかったものの、中島より売れているから幸せだと捉えることもできる。つまり、社会的評価と女性としての評価はイコールにならないという、“女性の生きづらさ”を示しているとも受け取れるが、最近になって、また別の考えを抱くようになった。

 「男女問わず、コンビは地味なほうが寿命も長い」のではないだろうか。

才(ザイ)